本ブログでは、行政書士の視点から、この「認定事業者マーク」を取得するための具体的な申請手続き、6つの認定基準、必要書類、そしてメリットについて、最新のガイドラインに基づき徹底解説します。早期の準備にお役立てください。
こども性暴力防止法とは?日本版DBSの仕組み
「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」(通称:こども性暴力防止法)は、こどもと接する業務に従事する者の性犯罪歴を確認する仕組み(日本版DBS)を導入し、こどもを性暴力から守ることを目的とした法律です。
法律の施行スケジュール
公布日:令和6年6月26日
施行日:令和8年12月25日(一部規定を除く)
義務対象事業者と認定対象事業者の違い
この法律では、事業者を大きく2つに分類しています。
| 区分 | 義務対象事業者(法定事業者) | 認定対象事業者(民間教育保育等事業者) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 学校、認可保育所、幼稚園、認定こども園、児童養護施設など | 学習塾、スイミングスクール、放課後児童クラブ、認可外保育施設など |
| 義務の内容 | 法律により、性犯罪歴確認(日本版DBS)の実施が義務付けられる | こども家庭庁の認定を受けることで、性犯罪歴確認を実施できるようになる |
日本版DBSの仕組み
日本版DBS(Disclosure and Barring Service)とは、こどもと接する業務に就く際に、事業者がこども家庭庁を通じて、その人に特定の性犯罪歴がないかを確認する仕組みです。認定事業者は、このシステムを利用して、こどもの安全を確保する体制を整えることができます。
認定事業者マーク(こまもろうマーク)とは
認定を受けた事業者は、国が定めた「認定事業者マーク」を使用することができます。このマークは、その事業者が法律に基づき、こどもを性暴力から守るための厳しい基準をクリアしていることの証明となります。
マークのデザインとコンセプト
愛称は「こまもろう」です。こどもをしっかりと見守る「フクロウ」をモチーフにしており、オレンジを基調とした温かみのあるデザインとなっています。これにより、保護者やこどもたちが「ここは安全な場所だ」と直感的に認識できるようになっています。
マークを表示できる場所
認定事業者は、以下の場所にマークを表示できます。
- 事業所の入り口や受付(ステッカー、看板、のぼり旗)
- ウェブサイトのトップページや会社概要
- パンフレット、チラシ、ポスター等の広告物
- 職員の制服や名刺
- 求人広告(「認定事業者であるため安心して働ける」というアピール)
認定対象となる事業者・業種
認定申請ができるのは、主に「民間教育保育等事業者」です。具体的には以下のような業種が該当します。
| カテゴリー | 具体的な事業例 |
|---|---|
| 学習支援業 | 学習塾、予備校、家庭教師派遣業、英会話教室、プログラミング教室 |
| スポーツ・文化活動 | スイミングスクール、サッカースクール、ピアノ教室、バレエ教室、書道教室 |
| 保育・預かりサービス | 認可外保育施設、ベビーシッター事業者、一時預かり事業 |
| 放課後活動 | 放課後児童クラブ(学童保育)、放課後等デイサービス(※一部は義務対象の場合あり) |
| 野外活動・イベント | キャンプ教室、自然体験活動団体 |
認定事業者マークを取得する5つのメリット
認定取得は義務ではありませんが、取得には大きな経営上のメリットがあります。
- 保護者からの信頼獲得
「国のお墨付きがある安全な教室」として、保護者が選ぶ際の重要な判断基準になります。 - 安全な事業者としての差別化
近隣の競合他社との差別化要因となり、生徒募集における強力なアピールポイントになります。 - 優秀な人材の確保
「コンプライアンスがしっかりしている職場」として、質の高い講師やスタッフが集まりやすくなります。 - 補助金・助成金の可能性
自治体によっては、認定事業者を対象とした補助制度が検討される可能性があります。 - 社会的責任(CSR)の実現
こどもの安全を守る姿勢を明確にすることで、地域社会での評価が高まります。
認定を受けるための6つの基準
認定を取得するには、こども家庭庁が定める以下の6つの基準(安全確保措置)をクリアし、その体制が整備されている必要があります。
1. 犯罪事実確認体制の整備
従事者の採用時や現職者に対して、性犯罪歴がないかを確認する責任者を選任し、適切に手続きを行う体制が必要です。
2. 早期把握のための措置
日頃からこどもたちの様子を観察し、変化に気づくための仕組み(定期的な面談、アンケート、観察記録など)を導入する必要があります。
3. 相談体制の構築
こどもや保護者が性被害について相談しやすい窓口を設置するか、外部の相談窓口を周知する体制が必要です。
4. 児童対象性暴力等対処規程の作成
万が一、性被害が発生した場合や疑いがある場合の対応手順(調査、保護、支援など)を定めた「対処規程」を作成・運用しなければなりません。
5. 研修の実施
全従事者に対して、性暴力防止に関する研修(座学および演習)を定期的に(年1回以上推奨)実施することが求められます。
6. 情報管理措置
犯罪事実確認の結果(プライバシー性の高い個人情報)を厳格に管理するための「情報管理規程」を策定し、セキュリティ対策(鍵付きキャビネット、アクセス制限など)を講じる必要があります。
認定申請に必要な書類チェックリスト
申請には多くの書類が必要です。行政書士として推奨する準備リストは以下の通りです。
【ステップ別】認定事業者マーク取得の申請手続き
申請は原則としてオンラインで行われます。
GビズIDの取得とシステム登録申請には法人・個人事業主向け共通認証システム「GビズID」のアカウントが必要です。未取得の場合は事前に取得してください(発行まで数週間かかる場合があります)。
申請書類の準備上記のチェックリストに基づき、規程類(対処規程、情報管理規程など)を作成・整備し、PDF化します。
オンライン申請の実施「こども性暴力防止法関連システム」にログインし、申請フォームに必要事項を入力、書類をアップロードします。
システム経由で納付指示があります。
審査中に補正(修正)を求められる場合があります。
認定通知の受領とマークの使用開始審査に合格すると「認定通知書」が発行され、事業者名が公表されます。これ以降、認定事業者マークを使用可能となります。
認定後の継続的な義務
認定はゴールではなくスタートです。認定事業者は以下の義務を負います。
- 犯罪事実確認の実施:新たに従事者を雇い入れる際は必ず確認を行い、結果に基づいて適切な配置を行うこと。
- 定期報告:毎年度、措置の実施状況や犯罪事実確認の実績をこども家庭庁に報告すること。
- 変更届出:事業所の名称、所在地、代表者、規程類に変更があった場合は速やかに届け出ること。
- 帳簿の備付け:確認記録や研修記録等を適切に保存すること。
よくある質問(FAQ)
行政書士による申請サポートのご案内
認定事業者マークの取得には、複雑な規程の作成や厳格な要件定義が求められます。私たち行政書士は、書類作成の専門家として以下のサポートを提供しています。
- 必要書類の作成代行:申請に必要な書類等について要件を満たす文書を作成します。(他士業の専門家とも連携して対応します。)
- 社内体制構築コンサルティング:研修計画の策定や情報管理フローの構築を支援します。
- 申請代理:書類作成から、補正等の対応まで一貫してサポートします。
専門家に依頼することで、「確実な認定取得」と「事務負担の軽減」が可能になります。
まとめ
こども性暴力防止法の認定事業者マーク(こまもろうマーク)は、こどもたちの未来を守るための重要なシンボルです。取得には入念な準備が必要ですが、それによって得られる信頼は計り知れません。
施行は2026年12月ですが、規程の整備や社内研修の準備には時間がかかります。今のうちから少しずつ準備を始めましょう。