コラム

任意後見における契約書の作成について

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日本では、現在全人口に占める65歳以上の割合が21%を超えており、世界的に見ても超高齢社会と呼ばれております。
その中で、行政書士業務を行っていると、成年後見制度という言葉を聞く機会が多くなってきたように思われます。

そこで、今回は私たちの身近な問題でもある、任意後見契約を締結するための契約書について考えていきたいと思います。

皆様の参考になれば幸いです。

任意後見契約は公正証書による契約

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任意後見契約は、公証役場の公証人が作成することになる公正証書で作成する必要があります。

つまり、公正証書によらない通常の契約書を作成して、任意後見契約を締結しても無効になります。

また通常、公正証書を作成する時については、本人と受任者となる者が公証役場に行くことが必要になりますが、本人の健康上の理由等で公証役場を訪れることができない場合については、公証人に出張を依頼することで自宅等に出張してもらうことも可能です。(別途、日当として出張費が必要になります。)

任後見契約法3条では

任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
と規定されています。

第3条の規定が公正証書を作成して、任意後見契約を締結しなければならない根拠となっております。

また、法務省令に定める様式によって公正証書を作成しなければならないとされています。
この、様式については本人の生年月日・本籍・任意後見人が行うこととなる事務についての代理権の範囲を特定して記載することになります。

任意後見契約を公正証書で作成することで

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任意後見契約を公正証書で作成することで、
1、契約が有効であるということを確実に立証することができるようになる。
2、本人の意思で適法・有効な契約が契約されているということが担保される。
3、公正証書は公証役場において保管されることになるので、契約書の改ざんや滅失の防ぐことができる。
4、公証人の登記所に対する嘱託によることで、登記を漏れなく行うことができるようになる。

上記のことが可能になるため、任意後見契約を締結するためには公正証書で作成することが求められます。

任意後見契約で重要な公証人について

公正証書で任意後見契約を締結する理由は上述した通りですが、公正証書は公証人が作成することになります。

公証人の役割について

公証人は、本人の意思確認(事理弁識能力・契約能力等)と契約意思を確認するという役割があります。

公証人法第26条では

公証人ハ法令ニ違反シタル事項、無効ノ法律行為及行為能力ノ制限ニ因リテ取消スコトヲ得ヘキ法律行為ニ付証書ヲ作成スルコトヲ得ス
と規定されています。

つまり、法律違反無効・無能力による取消等の事由がある場合については、公正証書を作成することができなということになります。

本人の意思能力を確認する方法は?

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公証人が本人の意思能力を確認するための方法は、色々ありますが、生年月日・年齢・出生地・当日の日付や曜日などを詳しく尋ね、ニュース等の話題から外界への関心・理解度を確認するなどといった手法がとられることがあります。

その結果、意思能力に疑問があるときは、意思の意見や診断書等の提出を求められることもあります。

任意後見契約に必要な書類は?

任意後見契約に必要な書類については、
1、本人の印鑑登録証明書
2、住民票
3、戸籍謄本
4、受任者の印鑑登録証明書
5、受任者の住民票
6、受任者が法人の場合は、印鑑証明書・登記事項証明書(登記謄本)
などが必要になります。

また、本人確認資料として、印鑑登録証明書に代えて、パスポートや運転免許証・住民基本台帳カード等でも問題はありません。

任意後見人や任意後見監督人の報酬について

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任意後見人や任後見監督人の報酬については、

日本公証人連合会のホームページでは以下のように記載されています。↓

意後見人に報酬を支払うか否かは,本人と任意後見人になることを引き受けた者との話し合いで決めることになります。ごく一般的に言えば,任意後見人を,第三者に依頼した場合には,報酬を支払うのが普通ですが,身内の者が引き受けた場合には,無報酬の場合が多いといえましょう。

任意後見監督人には、家庭裁判所の判断により、報酬が支払われます。
その報酬額は,家庭裁判所が事案に応じて決定しますが,本人の財産の額,当該監督事務の内容,任意後見人の報酬額その他の諸事情を総合して,無理のない額が決定されているようです。決定された報酬は,任意後見人が管理する本人の財産から支出されます。

まとめ

任意後見契約は、契約ですので書面を作成することによって契約をすることになります。
この書面は、通常の契約書とは異なり、必ず公正証書で作成することが求められますので、注意が必要です。

今回は、任意後見契約における契約書の作成について考えてきました。

任意後見契約の締結を検討している方・任意後見契約について知りたい方の参考になれば幸いです。

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