高度人材ポイント制を利用して在留資格を取得した場合、高度専門職という在留資格を取得することができます。
この高度専門職の在留資格を取得することができれば、永住権の申請において優遇措置を受けることができるようになります。
高度専門職の在留資格を取得するためには、高度人材ポイント計算表を利用して、70点以上あることが必要になります。
また、計算の結果80点以上ある場合は、70点以上の時よりも永住権を申請するにあたり、優遇措置を受けることができます。
そこで、今回はポイント計算の結果80点以上あることで高度専門職の在留資格を取得した方が、永住権の申請をする際に必要となる書類等について考えていきたいと思います。
80点以上のポイントを保持し、日本で生活を行っている高度専門職の在留資格を所持している方で永住権の申請を検討している方の参考になれば幸いです。
高度専門職の在留資格については以下の記事で詳しく解説しています。↓
80点以上の外国人の方が永住権の申請に必要となる書類
80点以上あることを前提として高度専門職の在留資格を取得した外国人の方が、永住権の申請をする場合に必要となる書類は以下のとおりです。
1,永住許可申請書 1通
2,証明写真 1葉 (縦4㎝×横3㎝)
3,理由書 1通 (永住許可を必要とする理由について記載。自由形式で記載。日本語以外で記載する場合は、翻訳文が必要)
4,申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 (マイナンバーについては省略し、他の事項については省略のないものが必要)
5,申請人の職業を証明する次のいずれかの資料
(1)会社等に勤務している場合
在職証明書 1通
(2) 自営業等である場合
a 申請人の確定申告書控えの写し又は法人の登記事項証明書 1通
b 営業許可書の写し(ある場合) 1通
(3)その他の場合
職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料 適宜
6,直近(過去1年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
(1) 住民税の納付状況を証明する資料
ア 直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)各1通
イ 直近1年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し,領収証書等)
(2) 国税の納付状況を証明する資料
源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)
(3) その他
次のいずれかで,所得を証明するもの
a 預貯金通帳の写し 適宜
b 上記aに準ずるもの 適宜
7,申請人及び申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
(1) 直近(過去1年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
ウ 国民年金保険料領収証書(写し)
(2) 直近(過去1年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
ア 健康保険被保険者証(写し)
イ 国民健康保険被保険者証(写し)
ウ 国民健康保険料(税)納付証明書
エ 国民健康保険料(税)領収証書(写し)
(3) 申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合
ア 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)
イ 社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)
8,高度専門職ポイント計算表等
・高度専門職ポイント計算結果通知書の写し
9,ポイント計算の各項目に関する疎明資料
こちらについては、高度専門職の在留資格の新規申請を行った際に提出した疎明資料と変更がない場合は、資料転用願届出書を提出することで、再度疎明資料を提出する必要はなくなります。
10,10 申請人の資産を証明する次のいずれかの資料
(1) 預貯金通帳の写し 適宜
(2) 不動産の登記事項証明書 1通
(3) 上記(1)及び(2)に準ずるもの 適宜
11,パスポート 提示
12,在留カード 提示
13,身元保証人に関する資料
(1) 身元保証書
(2) 身元保証人に係る次の資料
a 職業を証明する資料
在職証明書等,役員の方等は会社の登記簿謄本等
b 直近(過去1年分)の所得を証明する資料
住民税の課税証明書,源泉徴収票の写し等
c 住民票 1通
14,了解書1通
等が必要になります。
※上記13の身元保証人に関する資料については、2022年6月以降は提出書類が変更になり、(2)のa,b,cの書類が不要になりました。
身元保証人の必要書類の変更点については、以下の記事で解説しています。↓
当然、全ての書類が必要であるとうことではなく、健康保険に加入している方は国民健康保険の支払い状況を疎明する資料は必要ではありません。
そのため、自身の状況に合わせて資料を作成、収集していくことになります。
通常の永住権申請との必要書類の違い
80点以上のポイントで高度専門職の在留資格を取得した外国人の方が、永住権を申請する場合は通常の永住権申請で必要となる書類と少し異なる部分があります。
1,住民税の納付状況を証明する資料
通常は5年間の住民税の納付状況を証明する資料の提出が必要になりますが、80点以上の高度人材外国人の方の場合、疎明する期間が1年分になるため、書類収集を行いやすくなります。
2,高度専門職ポイント計算結果通知書の写し
高度専門職ポイント計算結果通知書の写しの提出をすれば、1年前の時点で80点以上あったことを疎明するための書類を省略することができます。
この高度専門職ポイント計算結果通知書の写しは、高度専門職の在留資格を新規で取得した時に、80点以上あるということを記載して、出入国在留管理局が発行してくれる書類になります。
上記の違いが通常の永住権申請等とは異なる書類になります。
永住権については以下の記事で詳しく解説をしています。↓
資料転用願届出書、了解書とは?
上記で記載した永住権の申請の時に必要になる書類の中に、資料転用願届出書と了解書というものがあります。
資料転用願届出書とは
通常、永住権の申請の際には自身が80点以上あることを疎明する資料の提出をしなければなりません。
しかし、高度専門職の在留資格を新規で申請した時に、学歴を証明する資料や年収を証明する資料などの疎明資料を既に提出しているため、変更がないものについては資料転用願届出書を提出することで、提出を省略できるようになります。
この疎明資料の転用をお願いする書類が資料転用願届出書になります。
法務省から公表されている参考様式を以下に掲載しておきます。↓
了解書とは
了解書とは、永住許可申請後から審査結果が出るまでの間に、身分変動(結婚や離婚)、納税状況、法令違反等が発生した場合には、速やかに出入国在留管理局に連絡することを承諾する文書になります。
こちらも法務省から公表されている了解書のひな形を以下に掲載しておきます。↓
疎明資料を転用する際の注意事項
上述したとおり、疎明資料転用願届出書を提出すれば、資料の再提出を省略することができるようになります。
ただし、資料が転用できるのは当然、変更がないものに変わります。
例えば、学歴等の卒業大学であったり、日本語能力検定の結果等については、変わることが基本的にはないので転用することができます。
しかし、例えば、年収見込みについては、その年度ごとに異なってきますので、こちらは転用は難しくなるため、雇用先等から再度最新の年収見込み証明書等を発行してもらう必要があります。
高度専門職の在留資格を取得するための年収については以下の記事で解説をしています。↓
まとめ
今回は80点以上のポイントを保持している高度専門職の在留資格の外国人の方が永住権を申請する場合について考えてきました。
高度専門職の在留資格を取得(もしくは計算の結果現時点で70点以上ある)できれば、永住権の申請について大きな優遇措置を受けることができます。
技術・人文知識・国際業務の在留資格を所持している方も、計算の結果70点以上あれば高度専門職の在留資格への変更、もしくは永住権の申請ができる可能性がありますので、日本で長く生活を続けていきたいと考えている場合は、一度検討してみても良いかもしれません。
今回の記事が、永住権の申請を検討している外国人の方の参考になれば幸いです。
以下の記事も関連記事としてよく読まれています。↓