在留資格

高度専門職1号(ハ)(高度経営管理)の必要書類について解説

外国人の方が日本で会社等を設立し、就労を行うためのには永住等の身分系の在留資格を除き、「経営・管理」という在留資格を取得する必要があります。

この在留資格「経営・管理」には、一定の条件を満たし70点以上のポイントがあれば、「高度専門職1号(ハ)(高度経営・管理活動)」の在留資格を取得することが可能です。

高度専門職の在留資格を取得することができれば、通常の就労ビザにはない優遇措置を受けることができるようになります。

当然、「高度専門職」の在留資格を取得するためには、決められた条件を満たす必要があるため難易度は高くなります。

そこで今回は「高度専門職1号(ハ)(高度経営・管理活動)」の在留資格の申請をするために必要となる書類について考えていきたいと思います。

「高度専門職1号(ハ)(高度経営・管理活動)」の在留資格の取得を検討している方の参考になれば幸いです。

高度専門職1号(ハ)とは


高度専門職(1号)の在留資格は3種類に分類されます。
3種類の高度専門職(1号)の在留資格については、以下の記事でも詳しく解説をしています。↓

その中でも高度専門職1号(ハ)とは、

本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動

を行う外国人の方が取得できる在留資格になります。

高度専門職の在留資格を取得するためには、ポイント計算を行いその合計が70点以上等の要件を満たす必要があります。

以下、高度専門職1号(ロ)の在留資格の記事でも要件等を解説しているので参考にしてください。↓

高度専門職1号(ハ)の在留資格の申請で必要な書類


上述したとおり、高度専門職の在留資格を取得するためには、ポイント制度を利用して、70点以上あることを証明しなければなりません。

70点以上あることを書面にて疎明する必要があるため、多くの書類を準備する必要があります。

ポイント表については、以下のURLからも確認できますので、参考にしてください。↓
出入国在留管理庁 ポイント評価の仕組みは?

高度専門職1号(ハ)(高度経営管理)のポイント計算の疎明資料

高度専門職1号(ハ)(高度経営管理)のポイント計算をしていく上で必要な疎明資料について確認していきます。

学歴

申請者の学歴を疎明していく必要があります。
例えば、経営管理に関する専門職学位(MBA,MOT)を保有している場合は25点の加点があります。
学歴を疎明する資料としては、

該当する学歴んお卒業証明書お及び学位取得の証明書

等が必要になります。

職歴

事業の経営又は管理に係る実務経験を疎明していく必要があります。
例えば、10年以上の「経営又は管理」に係る実務経験がある場合には25点の加点があります。

職歴を疎明する資料としては、

勤務先等の在籍証明書

等が必要になります。
これは、当然、該当する会社が作成したものが必要です。

年収

申請者の年収を疎明する資料を提出する必要があります。
例えば、年収が3,000万円以上ある場合は、50点の加点があります。

年収を疎明する資料としては、

年収見込証明書等、自身が代表取締役を務める会社から受ける報酬の年額を証する文書

等が必要になります。

また、この年収については、高度専門職ビザを取得して行う活動によって受け取る年収になるため、現在(過去)の年収ではなく、見込み年収であるという点に注意が必要です。
代表取締役等に就任する場合は、自身の役員報酬を定めた株主総会議事録等の添付も必要になります。

高度専門職ビザにおける年収については、以下の記事でも解説をしています。↓

地位

活動期間の代表取締役・取締役・代表執行役・執行役又は業務を執行する社員であることを証する資料を提出する必要があります。
例えば、代表取締役の場合は10点の加点があります。

地位を疎明する資料としては、

・法人の登記事項証明書

等が必要になります。

特別加算されるポイントについて

基本的には上記の「学歴」「職歴」「年収」「地位」等で70点以上があれば、活動内容等を鑑み在留資格「高度専門職一号(ハ)」の要件を満たすことができます。
しかし、上記の内容だけでは70点以上の取得ができない場合には、以下の特別加算されるポイントも検討していくことになります。

イノベーション促進支援措置を受けている

これは「出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令第一条第一項各号の表の特別加算の項の規定に基づき法務大臣が定める法律の規定等を定める件」別表第一又は別表第2に掲げるイノベーションを促進するための支援措置を受けている場合は、10点の加点があります。

疎明するための必要な書類としては、

補助金交付決定通知書の写し

等が考えられます。

イノベーション促進支援措置を受けている企業であり中小企業基本法に規定する中小企業者

上記のイノベーション促進支援措置を受けている企業であり、さらに中小企業基本法に規定する中小企業者である場合は、さらに10点の加点があります。

疎明するための必要書類としては、

法人の登記事項証明書、決算文書の写し

等が考えられます。

その他、法務大臣が認めるものを受けてる場合は、さらに10点の加点があり、研究開発費等の割合によっては5点の加点があります。

従事しようとする業務に関連する外国の資格、表彰等で法務大臣が認めるもの

このことを疎明する資料としては、

米国公認会計士や外国弁護士資格、レッドドット・デザイン賞(ベストオブザベスト)

等の資格や賞を疎明する資料があれば5点の加点があります。

以下、法務省から公表されている一覧表です↓


日本の大学を卒業又は大学院の過程を修了

疎明するための資料としては、

該当する学歴の卒業証明書及び学位取得の証明書

等の資料があれば10点の加点があります。

日本語能力

日本語専攻で外国の大学を卒業又は日本語能力試験N1合格相当であれば15点の加点があり、日本語能力試験N2合格相当であれば10点の加点があります。
疎明するための必要な資料としては、

卒業証明書又は合格証書の写し

等が必要になります。

一定の大学を卒業していること

以下のいずれかの大学を卒業している場合は、疎明資料を提出することで10点の加点があります。

① 以下のランキング2つ以上において300位以内の外国の大学又はいずれかにランクづけされている本邦の大学
(1)QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス(クアクアレリ・シモンズ社(英国))       
(2)THE・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス(タイムズ社(英国))
(3)アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ(上海交通大学(中国))  

②文部科学省が実施するスーパーグローバル大学創成支援事業(トップ型及びグローバル化牽引型)において,補助金の交付を受けている大学)
スーパーグローバル大学創成支援事業については、文部科学省のホームページで公表されています。

文部科学省 スーパーグローバル創成支援

疎明するために必要な書類は

卒業した大学が、上記のいずれかに該当する大学であることを証する資料(法務省ホームページ写しの該当部分等)、及び該当する大学の卒業証明書又は学位取得の証明書

等が必要になります。

外務省が実施するイノベーティブ・アジア事業の一環としてJICAが実施する研修を修了したこと

この研修を修了していることを疎明する資料を提出することで5点の加点があります。

ただし、イノベーティブ・アジア事業の一環としてJICAが実施する研修であって、研修期間が1年以上のものを修了した者が対象となります。
また、JICAの研修修了証明書を提出した場合、学歴及び職歴等を証明する資料は、原則として提出する必要はありませんが、(職歴)のポイントを加算する場合には、別途疎明資料が必要になります。

そして、本邦の大学又は大学院の授業を利用して行われる研修に参加した場合、(日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了)と重複して加算することは認められません。

必要な書類は、

JICAが発行する研修修了証明書

等が必要になります。

日本の公私の機関において貿易その他事業に1億円以上を投資

当該事業に自ら1億円以上投資をしている場合は、5点の加点があります。

疎明するための必要な資料としては、

株主名簿

等の資本金又は出資額を証する資料が必要です。

投資運用業等に係る業務に従事

以下の疎明資料があれば、さらに10点の加点があります。

1申請人の所属機関の金融商品取引法第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業,同条第3項に規定する投資助言・代理業又は同条第4項に規定する投資運用業に係る登録済通知書写し等
2申請人が上記のいずれかの業務に従事することを説明する資料

経営管理ビザの申請と同様の書類も必要


上記疎明資料を揃えて70点以上を証明することができれば、「高度専門職一号(ハ)」を申請するための条件はある程度整っています。

しかし、それ以外にも在留資格「経営管理」に準じた書類の提出も求められるので注意が必要です。

例えば、

・事業計画書
・法人名義の賃貸借契約書

等の資料の提出も求められます。

具体的な「経営管理」の在留資格の申請で必要な書類については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓

まとめ


今回は「高度専門職一号(ハ)」の在留資格について考えてきました。

高度専門職の在留資格を取得することができれば多くの優遇措置を受けることができることは上述したとおりです。

しかし、多くのメリットがあるからこそ、申請の難易度も高くなります。

そのような場合は、行政書士等の法務の専門家に相談すると効率的に手続きを進めていくことができるのでお勧めです。

今回の記事が高度専門職の在留資格の取得を検討している方の参考になれば幸いです。

以下の記事も良く読まれているので参考にしてください。↓

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