在留資格

外国人の方が日本で出産した時の手続きや国籍について

外国人の方が在留資格を取得して日本で生活続けていると、結婚をし、子供を日本で出産するケースも考えられます。

そのような場合、慣れない日本の地で様々な手続きを行う必要があり、とても大変な作業になります。

そこで、今回は外国人の方が日本で出産した時の手続きや国籍について考えていきたいと思います。

日本で生活をしている外国人の方の参考になれば幸いです。

結婚した時の在留資格「配偶者ビザ」については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓

外国人の方が日本で出産した時の手続きは?


外国人の方が日本で子供を出産する時は、「出産前」と「出産後」の手続きに分けることができます。

以下では、「出産前」と「出産後」に分けて手続きを記載していきます。

出産前の手続き


出産前にすべき手続きには以下のものがあります。

出産場所を探す

妊娠がわかった場合、日本では「産科」のある病院で分娩することになります。

そのため、まず妊娠初期に早めに分娩するための病院を予約する必要があります。

かかりつけの病院に「産科」がない場合等は、役所で出産できる病院の情報提供を受けることや相談をすることができます。

妊娠届の提出

妊娠がわかったら、妊娠届を住所地を管轄する役所に提出する必要があります。

妊娠届を提出する期限は決まっていませんが、妊娠がわかったら早めに届出をすることが推奨されています。

また、基本的には妊娠届は妊娠をした本人が提出する必要がありますが、本人が役所に行くことができない時は、代理人が提出することができます。

その場合は、「委任状」が必要になるので忘れないように注意が必要です。

妊娠届の届出手数料は無料です。

必要書類は以下のとおりです。(大阪市の場合)

・本人確認書類
・妊娠届
※代理人が届出する場合は委任状

大阪市では以下の妊娠届を使用しています。↓

妊娠届

また、本人確認書類は以下のものが該当します。

<参照:大阪市ホームページより抜粋

母子健康手帳の受取り

妊娠届を提出すると母子健康手帳及び付属の書類が交付されます。

この母子健康手帳交付の際に、保健師等が妊婦の健康状態等をお伺いする面接が行われ、母子の健康サービスなどの説明が行われます。

大阪市では以下の書類が母子健康手帳とともに交付されます。

①母子健康手帳
②母子健康手帳別冊(妊産婦健康診査受信票、新生児聴覚検査受験票、乳児一般健康診査受信票)
③予防接種手帳
④マタニティマークストラップ

上記④のマタニティマークとは、以下の役割が期待されています。

①妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの。
②交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等が、その取組や呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの。


<参照:厚生労働省 マタニティマークについてより>

さらに、日本語が不得意が外国人の方に向けて、地方自治体によっては外国版の母子健康手帳を取得することもできます。

例えば、大阪市では「英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語、ネパール語」に対応した母子健康手帳をもらうことができます。

出産育児一時金の手続き

健康保険に加入している場合、妊娠4ヶ月(85日)以上の方が出産したときは、1人につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円(令和3年12月31日以前の出産は40.4万円))出産育児一時金が支給されます。

これは外国人の方が日本で出産する時も対象になり、流産や死産になっても支給されます。

ただし、人工中絶の場合は件古城の理由や、望まない妊娠(暴行・脅迫等)のケースに該当する時だけが対象になります。

また、出産育児一時金については、事前に病院で手続きを行うことで、出産費用を出産育児一時金支給額から控除した金額で対応してくれる場合もあります。(これを直接支払い制度と言います。)

日本で出産するには平均50万円程度の出産費用が必要になるため、出産育児一時金の金額をあらかじめ控除してもらうことができれば、支払う費用を最初から抑えることができます。

そのため、出産する病院に直接支払い制度に対応しているかどうか、事前に確認しておきましょう。

出産後の手続き


出産後の手続きは以下のものがあります。

出生届の提出

日本国内で出産した場合、まずは出生の報告をする必要があります。

この手続きは、子供の出生の日から14日以内に出生した子供の本籍地or届出る人の所在地or子供の出生した市区町村の役所に届出を行う必要があります。

本籍地に関しては、外国人の方の場合はありませんので、この場合は届出る人の所在地or子供の出生した市区町村の役所に届出を行います。

出生届の届出ができる人は以下の者が該当します。

子供の父又は母
※父または母の届出が不可能なケースでは、同居者や出産立会人(医者、助産師又はその他の者)の順番で届出をすることができます。

出生届の必要書類

出生届を行う際に必要になる書類は以下のものが該当します。

①出生届書・出生証明書
※この書類は、病院等で発行されます。
※出生証明書は出生届出書と一体となって印刷されており、医師等により記載されます。
出生届は、法務省のホームページにも例が掲載されています。↓
法務省 出生届(嫡出子の場合)
②母子健康手帳
③国民健康保険証(加入者のみ)

在留資格の取得をするための申請

例えば、外国人の方同士で結婚したようなケースでは、日本で出産をしたとしても、その子供は日本国籍を取得することができません。

そのため、外国人の両親同様に子供も在留資格を取得するための手続きを行う必要が出てきます。

子供の在留資格を取得申請をしなければならない期間は?

上述したとおり、外国人同士で結婚したケースでは、生まれた子供も在留資格を取得するための手続きを行う必要があります。

この手続きについては、子供が生まれた日から30日以内に「外国人の両親が住んでいる住居地を管轄する出入国在留管理局」に対して、手続きを行うことになります。

ただし、子供が生まれてから30日の間に在留資格を取得する手続きを行わなければなりませんが、出生の日から60日の間は、在留資格を持っていなくても日本に在留することができます。

つまり、子供が生まれてから60日以内に日本から出国するような場合、在留資格を取得する必要はありません。

これは、「出入国管理及び難民認定法第22条の2、第1,2項」で規定されている条文が根拠となります。

以下、出入国管理及び難民認定法第22条の2,第1,2項」の条文です。

(在留資格の取得)
第二十二条の二 日本の国籍を離脱した者又は出生その他の事由により前章に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人は、第二条の二第一項の規定にかかわらず、それぞれ日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から六十日を限り、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。
2 前項に規定する外国人で同項の期間をこえて本邦に在留しようとするものは、日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から三十日以内に、法務省令で定めるところにより、法務大臣に対し在留資格の取得を申請しなければならない。

子供の在留資格の取得申請ができる人

上述した子供の在留資格の申請をすることができる人は以下のとおりです。

①子供の法定代理人(親等)
②地方出入国管理長に届出を行った弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたもの

上記に該当する人が子供の在留資格取得申請を行うことが可能です。

子供が取得できる在留資格は?

子供の在留資格については、両親が現在与えられている在留資格の種類によって異なってきます。

例えば、両親が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格等の就労ビザを取得している場合は、「家族滞在」の在留資格が与えられることになります。

また、日本人と結婚している外国人の方が「日本人の配偶者等」の在留資格を取得している場合は、「日本人の配偶者等」の在留資格が与えられます。

国内で出産して永住権を取得している場合は、「永住権」が与えらえれます。(ただし、出生日から31日を経過した場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格が与えられます。

そして、永住権を持っている外国人の方が海外で出産した場合は、「定住者」の在留資格が与えられることになります。(このケースでは、在留資格認定証明書交付申請の手続きになるため、海外から外国人の方を呼び寄せる手続きになります。)

上記のような在留資格が子供には与えられますので、両親が所持している在留資格によって、子供の在留資格が異なってきますので注意が必要です。

以下、わかりやすくフローチャートにまとめています。↓

ただし、子供が出生してから60日を超えてしまった場合は、オーバーステイとなってしまい、不法滞在になるので別途手続きが発生します。

オーバーステイになってしますと手続きが煩雑化しますので、必ず30日以内に手続きは行うようにしましょう。

現在、就労ビザを取得している外国人の方が日本人と結婚した場合の在留資格に関することは以下の記事で解説をしています。↓

両親の一方が日本人の場合

両親のどちらか一方が日本人の場合は、「国籍法第2条1号」の規定によって、出生した子供は日本国籍を取得することになるため、在留資格を取得する手続きを行う必要がありません。

ただし、このケースでは二重国籍になるという問題が発生することになりますが、「出入国管理及び難民認定法」上の外国人にはあたらないため、在留資格の取得申請を行う必要はありません。

日本では二重国籍は認められていませんので、このようなケースでは、子供が20歳に到達する時までに、どちらかの国籍を選択する必要があります。


<参照:法務省 国籍の選択についてより抜粋>

国籍選択については以下の記事で解説していますので参考にしてください。↓

国籍留保の届出

上述したとおり、日本人との間に生まれた子供については、出入国管理及び難民認定法上の外国人には該当しないため、在留資格の取得手続きを行う必要はありません。

しかし、二重国籍は認められていないため、国籍留保の届出を行う必要があります。

この手続きは、出生届けの「その他」の欄に「日本の国籍を留保する」と記載することで届出を行うことができます。

この届出を行うことで、子供は20歳になるまで国籍を選択する時期を延長することができます。

ただし、国籍留保の届出は子供が生まれてから3カ月以内に出生の届出とともに行わない場合、日本国籍を喪失してしまうので注意が必要です。

仮に、日本国籍が喪失してしまった場合、20歳未満であり、日本に住所を有する時は、法務大臣に届け出ることで日本国籍を再取得することができます。

両親の国籍国の駐日大使館(領事館)での手続き

子供の両親の国籍国を管轄する駐日大使館(領事館)にて、子供の出生の届出を行います。

この手続きを行ったうえで、子供のパスポートを発給してもらうことになります。

なお、手続きには日本の出生届記載事項証明書及びその翻訳文等が必要になりますが、手続きする国籍の領事館で書類が異なりますので、事前に必ず確認をしておくことをおすすめします。

その他の出産に関連する手続きについて


上記手続き以外にも、様々な手続きが日本ではあります。

もちろん、家庭環境等によって受けられる行政サービスは異なってきますが、代表的なものを以下で記載していきます。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、1歳(一定の場合は1歳2か月。さらに一定の場合は1歳6か月。)に満たない子を養育するために育児休業を取得する一般被保険者の方で、育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が
11 日以上ある月(過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことのある方については、基本手当の受給資格決定を受けた後のものに限ります。)が 12 か月以上ある方が対象となる給付金です。

一般的には「育休手当」とも呼ばれています。

給付の内容は、育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間(その1か月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間。)について支給されます。

この育児休業給付金の手続きは、被保険者を雇用している事業主が、事業所の所在地を管轄しているハローワークに対して行うものになります。

出産手当金

出産手当金とは、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

この、出産日は出産の日以前の期間に含まれます。

また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

児童手当

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方は、児童手当を毎年6月,10月,2月に1年分を分けて支給してもらえる制度です。

支給額は、2022年時点では以下のとおりです。

①3歳未満・・・一律15,000円
②3歳以上小学校修了前・・・10,000円(第3子以降は15,000円)
③中学生・・・一律10,000円

内閣府のホームページでも詳細が公表されていますので参考にしてください。↓

内閣府ホームページ

まとめ


今回は外国人の方が日本で出産する時に必要な手続きについて考えてきました。

出産前後は、両親ともやることが多くとても忙しくなります。

特に在留資格の申請等は忘れてしまうと、日本で生活ができなくなることも考えられますので、必要な手続きを整理して、確実に進めていくことが必要になります。

在留資格の申請等は専門家である行政書士に相談することで効率的に進めていくこともできるので、ぜひ一度相談してみてください。

今回の記事が、日本で生活している外国人の方の参考になれば幸いです。

将来的に帰化を検討している方は、以下の記事も良く読まれていますので参考にしてください。↓

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