法務相談を受けていると、帰化をすることについての相談を受けることが多くあります。
また、帰化申請と永住権取得で迷われている方の相談を受けることもあります。
そこで今回は帰化をすることについて、役に立つことを書いていきます。
帰化申請を考えている方の参考になれば幸いです。
帰化申請を検討している方は以下の記事も参考にしてください。↓
「帰化する」ってそもそもどういう意味?
帰化するとは、本人の希望により他国の国籍を取得し、その国の国民となることをいいます。外国人の方が日本の国籍を取得して法律上の日本人になること「日本に帰化する」といいます。
広辞苑では
き‐か【帰化】
[一]
(1) [論衡程材「帰化慕義」] 君王の徳化に帰服すること。
(2) [後漢書循吏伝、童恢]他の地方の人がその土地に移って来て定着すること。
[二] (naturalization)
(1) 志望して他の国の国籍を取得し、その国の国民となること。「日本に―する」
(2) 〔生〕人間の媒介で渡来した生物が、その土地の気候・風土に適応し、自生・繁殖するようになること。
などのように記述されています。
国籍法第四条では
国籍法第四条では、帰化について以下のように規定されています。
1、日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2、帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
と規定されています。
帰化する方の代表的な悩みは?
依頼者によって、各々帰化申請についての悩みがありますが、代表的なものは以下のとおりです。
①どれくらいで帰化ができますか?
②何度か交通違反をしているが、大丈夫ですか?
③住民税等を滞納しているが、大丈夫ですか?
④年金を払っていないが、大丈夫ですか?
⑤家族の中で自分だけ帰化をしたいのですが、大丈夫ですか?
といったご相談を受けることが多くあります。
帰化と永住とは異なるの?
帰化と永住の異なる点は、以下のような点をあげることができます。
1、書類の申請先が違う
帰化申請における書類の提出先は、国籍課のある法務局になります。
これに対し、永住権における書類の提出先は出入国在留管理局になるので、書類の申請先が異なってきます。
2、日本国籍を取得するかどうか
帰化をした場合、日本では二重国籍は認められていませんので、これまで持っていた国籍を喪失することになります。
これに対し、永住権においては、国籍はそのままで日本に永久に住むことができる永住権を取得することになります。
3、選挙権、被選挙権の有無
帰化の場合は日本国籍を取得することになるので、憲法においても選挙権、被選挙権が保証されます。
これに対し、永住権は外国国籍のままなので、選挙権、被選挙権は保証されていません。
つまり、帰化をすることによって自由に国政に参加することが可能になります。
4、自分の戸籍を持つことができるかどうか
帰化の場合は役所に届出れば、自分の戸籍を持つことが可能になります。
これに対し、永住権においては自分の戸籍を持つことができません。
つまり、戸籍があるということは日本人であるという証明にもなりますので、永住権では国籍がそのままなので戸籍が作られることはありません。
5、一部を除き日本の公務員になれるかどうか
帰化の場合は日本の公務員になることができます。
これに対し、永住権の場合は一部を除き日本の公務員になることが難しくなります。
6、再入国申請の有無
帰化の場合は、外国に行った場合でも再入国の申請は不要です。
これに対し、永住権の場合は再入国申請が必要になります。
7、強制退去制度の適用の有無
帰化申請の場合は、強制退去制度の適用はありません。
これに対して、永住権の場合は、あくまでも在留資格なので強制退去制度の適用を受ける可能性があります。
上記のように、帰化と永住では上記のように、大きく異なる点があります。
まとめると、帰化では日本国籍を取得するが、永住権では日本国籍の取得ができないといった観点から、日本における権利などに違いがでてくるものと考えられます。
永住権については、以下の記事で詳しく解説をしています。↓
在留手続きとは?
在留手続きとは、外国人が日本に在留する間において入国管理局で行う必要な諸手続きを在留手続きといいます。
外国の方が日本において活動を行うためには、上記の在留手続きをしなければなりません。
在留手続きが必要な場合の具体例
例えば、以下のケースで在留手続きが必要になります。
日本の大学や専門学校で何かを学ぶために日本に来る場合
留学の在留資格が必要になります。
日本で会社を設立してビジネスを行う場合
経営管理の在留資格が必要になります。
経営管理の在留資格については、以下の記事で解説をしています。↓
日本の会社で雇用される場合
技術・人文知識・国際業務の在留資格が必要になります。
技術・人文知識・国際業務の在留資格については、以下の記事で解説をしています。↓
日本に観光目的で訪れる場合
短期滞在の在留資格が必要になります。
などの日本で行う活動目的にあった在留資格を取得していく必要があります。
また、気をつけなければいけないことは、留学の在留資格で滞在しているにもかかわらず、働いているような場合は、入国管理局から資格外活動の許可を受けていない限り不法就労とされます。
このような場合は、外国人の方だけではなく、雇用主も罰則を受ける対象になります。
つまり、在留資格においては、在留している外国人はその資格にあった活動をしなければなりません。
ただし、永住権においては在留活動に制限はないので、どのような仕事にもつくことができます。
就労ビザを持っている方が帰化申請をする場合については、以下の記事でも解説をしています。↓
帰化の費用や方法は?
帰化申請は個人ですることもできますし、書類が多く複雑なため行政書士等の法務の専門家に依頼する方法もあります。
帰化申請に関する費用については、以下の記事で解説をしています。↓
まとめ
外国国籍の方が帰化をすると、日本国籍を取得することになります。
日本国籍を取得すると日本人となりますので、日本に住む限りは在留資格で活動する外国人の方よりも、自由に活動することが可能になり、色々な制限もなくなります。
しかし、帰化申請には多くの書類が必要になり、それによって、膨大な時間を費やす可能性もあります。
個人で帰化することも、もちろん可能ですが、迅速かつ効率的に帰化申請をする手段の一つとして、法務の専門家である行政書士に依頼することも検討してみてください。きっと帰化申請をするにあたって、力になってくれます。
今回の記事が帰化を検討している方の参考になれば幸いです。