法務相談を受けていると、帰化をすることについての相談を受けることが多くあります。
また、帰化申請と永住権取得で迷われている方の相談を受けることもあります。
そこで今回は帰化をすることについて、役に立つことを書いていきます。
帰化申請を考えている方の参考になれば幸いです。
帰化申請を検討している方は以下の記事も参考にしてください。↓
2016.04.06
帰化申請をされた方の事例
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「帰化する」ってそもそもどういう意味?
帰化するとは、本人の希望により他国の国籍を取得し、その国の国民となることをいいます。外国人の方が日本の国籍を取得して法律上の日本人になること「日本に帰化する」といいます。
広辞苑では
き‐か【帰化】
[一]
(1) [論衡程材「帰化慕義」] 君王の徳化に帰服すること。
(2) [後漢書循吏伝、童恢]他の地方の人がその土地に移って来て定着すること。
[二] (naturalization)
(1) 志望して他の国の国籍を取得し、その国の国民となること。「日本に―する」
(2) 〔生〕人間の媒介で渡来した生物が、その土地の気候・風土に適応し、自生・繁殖するようになること。
などのように記述されています。
国籍法第四条では
国籍法第四条では、帰化について以下のように規定されています。
1、日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2、帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
と規定されています。
また、法務省の国籍Q&Aでは「Q.8帰化とは、何ですか?」の質問に対して、以下のような回答をしています。
帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して、国家が許可を与えることによって、その国の国籍を与える制度です。日本では、帰化の許可は、法務大臣の権限とされています(国籍法第4条)。
法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告示されます。帰化は、その告示の日から効力を生ずることとなります(国籍法第10条)。
上記のような回答がなされています。
帰化する方の代表的な悩みは?
依頼者によって、各々帰化申請についての悩みがありますが、代表的なものは以下のとおりです。
①どれくらいで帰化ができますか?
②何度か交通違反をしているが、大丈夫ですか?
③住民税等を滞納しているが、大丈夫ですか?
④年金を払っていないが、大丈夫ですか?
⑤家族の中で自分だけ帰化をしたいのですが、大丈夫ですか?
といったご相談を受けることが多くあります。
帰化と永住とは異なるの?
帰化と永住の異なる点は、以下のような点をあげることができます。
1、書類の申請先が違う
帰化申請における書類の提出先は、国籍課のある法務局になります。
これに対し、永住権における書類の提出先は出入国在留管理局になるので、書類の申請先が異なってきます。
また、上述した通り、帰化申請をするための根拠となる法律は「国籍法」であり、在留資格の手続きを行うための根拠法は「出入国管理及び難民認定法」です。
そのため、そもそもの根拠法が異なるため、手続きの方法も大きく異なるので注意が必要です。
2、日本国籍を取得するかどうか
帰化をした場合、日本では二重国籍は認められていませんので、これまで持っていた国籍を喪失することになります。
これに対し、永住権においては、国籍はそのままで日本に永久に住むことができる永住権を取得することになります。
3、選挙権、被選挙権の有無
帰化の場合は日本国籍を取得することになるので、憲法においても選挙権、被選挙権が保証されます。
これに対し、永住権は外国国籍のままなので、選挙権、被選挙権は保証されていません。
つまり、帰化をすることによって自由に国政に参加することが可能になります。
4、自分の戸籍を持つことができるかどうか
帰化の場合は役所に届出れば、自分の戸籍を持つことが可能になります。
これに対し、永住権においては自分の戸籍を持つことができません。
つまり、戸籍があるということは日本人であるという証明にもなりますので、永住権では国籍がそのままなので戸籍が作られることはありません。
5、一部を除き日本の公務員になれるかどうか
帰化の場合は日本の公務員になることができます。
これに対し、永住権の場合は一部を除き日本の公務員になることが難しくなります。
6、再入国申請の有無
帰化の場合は、外国に行った場合でも再入国の申請は不要です。
これに対し、永住権の場合は再入国申請が必要になります。
7、強制退去制度の適用の有無
帰化申請の場合は、強制退去制度の適用はありません。
これに対して、永住権の場合は、あくまでも在留資格なので強制退去制度の適用を受ける可能性があります。
上記のように、帰化と永住では上記のように、大きく異なる点があります。
まとめると、帰化では日本国籍を取得するが、永住権では日本国籍の取得ができないといった観点から、日本における権利などに違いがでてくるものと考えられます。
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在留手続きとは?
在留手続きとは、外国人が日本に在留する間において入国管理局で行う必要な諸手続きを在留手続きといいます。
外国の方が日本において活動を行うためには、上記の在留手続きをしなければなりません。
在留手続きが必要な場合の具体例
例えば、以下のケースで在留手続きが必要になります。
日本の大学や専門学校で何かを学ぶために日本に来る場合
留学の在留資格が必要になります。
日本で会社を設立してビジネスを行う場合
経営管理の在留資格が必要になります。
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短期滞在の在留資格が必要になります。
などの日本で行う活動目的にあった在留資格を取得していく必要があります。
また、気をつけなければいけないことは、留学の在留資格で滞在しているにもかかわらず、働いているような場合は、入国管理局から資格外活動の許可を受けていない限り不法就労とされます。
このような場合は、外国人の方だけではなく、雇用主も罰則を受ける対象になります。
つまり、在留資格においては、在留している外国人はその資格にあった活動をしなければなりません。
ただし、永住権においては在留活動に制限はないので、どのような仕事にもつくことができます。
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帰化するための条件は?
帰化申請をするためには、以下の条件をクリアする必要があります。
①引き続き五年以上日本に住所を有すること。
②十八歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
③素行が善良であること。
④自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
⑤国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
⑥日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
上記条件を満たしていることが必要になります。
また、特別永住者の方や日本人の配偶者である外国人の方等は、上記①の居住要件が緩和されているようなケースもありますので、自身の状況も確認し、帰化の手続きを進めていく必要があります。
帰化申請の条件については、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。↓
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まとめ
外国国籍の方が帰化をすると、日本国籍を取得することになります。
日本国籍を取得すると日本人となりますので、日本に住む限りは在留資格で活動する外国人の方よりも、自由に活動することが可能になり、色々な制限もなくなります。
しかし、帰化申請には多くの書類が必要になり、それによって、膨大な時間を費やす可能性もあります。
個人で帰化することも、もちろん可能ですが、迅速かつ効率的に帰化申請をする手段の一つとして、法務の専門家である行政書士に依頼することも検討してみてください。きっと帰化申請をするにあたって、力になってくれます。
今回の記事が帰化を検討している方の参考になれば幸いです。
帰化申請については以下の動画でも解説をしています。↓