日本でも少しずつ認知度が上がってきているプレナップ。結婚前に結婚後の家庭内のルールや離婚後のことなどを、事前に話し合うことでお互いが不安を解消して結婚できるようにする契約書として注目をあびてきています。
幸せな結婚の条件として、弊所にもプレナップの作成の相談される方が多くいらっしゃいます。
そこで、今回はプレナップについて少し考えていきます。
プレナップの作成をご検討中の方の参考になれば幸いです。
プレナップ(プリナップ)とは?
プレナップ(プリナップ)とは英語では、「prenup」と記載し、「婚前契約」「結婚契約」と日本語では訳されます。
最近では、日本の芸能人の方もプレナップを作成したということが、ニュースにもなっていたので、日本でも作成する方が多くなってきています。
ちなみに、アメリカやフランス等では約20%のカップルがプレナップを作成していると言われています。
プレナップ(婚前契約書)の内容については以下の記事でも解説をしています↓
プレナップの種類は?
プレナップは「婚前契約」なので、カップル間の契約になります。
その方式としては、以下のものがあります。
1、覚書
契約書に近いものではありますが、契約書の簡易バージョンといったイメージになります。契約条項の解釈や前提事実等を明確にするために、契約書に付随して作成されることが多くあります。
しかし、署名・押印など一定の事項が記載されていれば証拠にもなり、契約書同様に法的な効力を持つことになります。
覚書で記載する必要がある項目は5つです。
基本的には契約書と同様のものになりますが、
1、当事者双方の署名捺印
2、日付
3、双方が合意した内容
4、文頭に合意した者の名前と合意した旨の記載
5、文末に保存方法(双方が1通ずつ所持するなど)
2、契約書
取引内容の条件などを明確にするために、当事者双方の合意内容を詳細に記載したものになります。
契約自体は口頭でも成立しますが、後の「言った」「言わない」といった争いを防止するために、重要な内容については書面で作成することで、契約内容に合意していた旨の証拠になります。
3、公正証書
公証人が作成する公文書になります。
公正証書は公証人が作成することから、覚書や契約書よりも証明力が高くなります。
また、公正証書にすることで金銭債権などについては、裁判手続きを経ることなく、強制執行をかけることができるようになります。
プレナップを作成する場合は、上記の方法で作成することになります。(夫婦財産契約もありますが、今回は省略しています。)
私文書の契約書?それとも公正証書?
プレナップの作成では契約書の形で作成することが多い傾向にありますが、公正証書にするメリットはあるのでしょうか?
公正証書にすることで、上述した通り証明力が高くなり金銭債権などにおいては、強制執行をかけることができます。
離婚協議書などを公正証書にすることで、養育費の支払いが滞った場合においては、強制執行をかけることができますが、プレナップで離婚後の養育費を定めたとしても、強制執行をかけることが難しいことが多いです。
不確定な未来における、金銭債権についてはプレナップで契約として定めたとしても強制執行をかけることが難しいという見解があるからです。
また、親権などについても民法では子の利益を最優先に考える必要があるとされていますので、プレナップで親権を妻側に定めたとしても、無効になるケースなどが考えられます。
したがって、公正証書にするメリットとしては証明力が高くなるということがあり、デメリットとしては私文書で作成する場合もそうですが、期待した効果が発生しない可能性もあるということです。
プレナップの目的
プレナップはあくまでも、幸せな結婚生活を送るための道具となりますので、結婚後に不安なことについて話し合い、ある程度自由に定めていくものだと考えております。
公序良俗に反しない限り、原則的には契約は自由に定めることができますので(強行法規等もありますが・・・)、しっかり双方がしっかりと話し合って、家庭内のルール等を決めていくことが大切です。
もちろん、それにプラスして<離婚後のことも定めていけば、素敵なプレナップが完成すると思います。
ただし、上述した通り幸せな結婚生活を送るための条件を書いていくものですので、離婚後のリスクばかり記載することはお勧めしません。(どうしてもそちらに気がいきがちですが・・・)
プレナップを作成した有名人は?
海外では多くの有名人がプレナップを作成しています。
例えば、
ブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリー
ニコール・キッドマンとキース・アーバン
ジャスティン・ティンバーレイクとジェシカ・ビール
などもプレナップを作成しています。
また、最近では日本の有名人の方もプレナップを作成したことで、大きな話題になっていました。
まとめ
プレナップを作成することで、幸せな結婚生活を送るための条件
を決めていくことができるようになります。
結婚前だからこそ、双方でしっかりと話し合って、結婚後の不安に思っていることを解消することがでます。
そのための、道具の一つとしてプレナップの作成を検討してみてはどうでしょうか?
また、行政書士等の法務の専門家に相談することで、素敵なプレナップの作成のサポートをしてくれますので、選択肢の一つとして検討してみてもどうでしょうか。
今回はプレナップについて書いてきました。
皆様の参考になれば幸いです。
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