深夜酒類提供飲食店営業

飲食店営業許可の取得を大阪市で考えている方に役立つエントリー

飲食店を開業するためには、一定の条件を満たしたうえで、飲食店営業の許可を取得する必要があります。

また、深夜0時を超えて酒類(お酒)を提供するバーや居酒屋を開業するためには、「深夜酒類提供飲食店営業の届出」を管轄の警察署に行う必要がありますが、原則「飲食店営業許可」を取得しておく必要があります。

そこで今回は、大阪市で飲食店の開業を検討している方に役立つことを書いていきます。

飲食店の開業を考えている方の参考になれば幸いです。

深夜0時を超えて酒類(お酒)を提供するバーや居酒屋の開業を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。↓

飲食店営業許可とは?


バーや居酒屋に限らず、「食堂」「レストラン」「カフェ」等の飲食店を始めるためには、食品衛生法に基づく営業許可を取得しなければなりません。

この許可のことを飲食店営業の許可と言います。

飲食店営業を行うにあたり、許可を取得しなければならない根拠は「食品衛生法第55条及び57条」で規定されています。

飲食店営業許可の取得ができない人は?


飲食店営業は「許可制」であるため、要件を満たすことができれば、誰でも営業許可の取得をすることが可能です。

しかし、以下の食品衛生法第55条の規定に該当する場合は、欠格事由にあたるため飲食店営業許可を受けることができません。

食品衛生法55条に規定される欠格事由

②前項の場合において、都道府県知事は、その営業の施設が前条の規定による基準に合うと認めるときは、許可をしなければならない。ただし、同条に規定する営業を営もうとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の許可を与えないことができる。
一 この法律又はこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
二 第五十九条から第六十一条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

つまり、「食品衛生法に違反して処分を受けている場合」や「別の飲食店を営業していたて許可の取り消し処分がされた場合」において、2年経っていない等のケースでは、許可を取得することができないということです。

飲食店営業許可を取得するための条件は?


上述した通り、「飲食店営業許可」は許可制であるため、許可要件を満たせば、欠格事由に該当していない限り、誰でも許可を取得することができます。

飲食店営業許可を取得するために重要なポイントは「人的要件」と「設備要件」です。

以下で、これらの要件について解説していきます。

食品衛生責任者の設置(人的要件)

飲食店営業許可を取得するためには「食品衛生責任者」を必ず設置する必要があります。

この「食品衛生責任者」は他の店舗の食品衛生責任者と兼任ができないので注意が必要です。

つまり、飲食店をオープンするにあたり、別の店舗で食品衛生責任者に選任されている者を新規店舗の食品衛生責任者に選任する場合は、別の店舗の食品衛生責任者から外れる必要があります。

食品衛生責任者とは

食品衛生責任者とは、営業者の指示に従い、HACCPに沿った衛生管理など施設における衛生管理にあたる人のことを指します。

食品衛生責任者の役割

食品衛生責任者は以下の役割を担います。

①営業者の指示に従い、施設における衛生管理に当たること。また、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めること。
②営業許可業種の食品衛生責任者は、食品衛生に関する知識のフォローアップのための講習会(実務講習会)を定期的に受講し、新たな知見の習得に努めること。

食品衛生責任者になることができる人

食品衛生責任者は以下に該当する者がなることができます。
①食品衛生監視員又は食品衛生管理者になる資格要件を満たす者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師あるいは医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者等)

②調理師、製菓衛生師、栄養士又は船舶料理士

③と畜場法第7条に規定する衛生管理責任者若しくは同法第10条に規定する作業衛生責任者

④食鳥処理衛生管理者になる資格を有する者

⑤食品衛生責任者養成講習会修了者

上記に該当する人が、食品衛生責任者になることができます。

食品衛生責任者養成講習会とは

上記で記載した人が「食品衛生責任者」になれますが、①~④に該当する人材がいない場合、⑤の食品衛生責任者養成講習会を受講することで、飲食店営業許可における食品衛生責任者になることができます。

この食品衛生責任者養成講習会は、誰でも受講することができるため、①~④の人材がいない場合は、⑤の要件を満たして、人的要件をクリアすることになります。

大阪府内では、「公益社団法人大阪食品衛生協会」が実施しているので、食品衛生責任者がいない場合は、当該協会の講習会を必ず受講しなければなりません。

なお、受講するためには事前申し込みが必要になるため、以下に「公益社団法人大阪食品衛生協会」の情報を掲載しておきます。

名称:公益社団法人大阪食品衛生協会
所在地:大阪市中央区伏見町2-4-6大阪薬業クラブ内
電話:06-6227-5390
ファックス:06-6232-0417
HP:公益社団法人大阪食品衛生協会ホームページ

なお、食品衛生責任者養成講習会の日程が直近では行われていないよう場合で、食品衛生責任者が不在のまま飲食店営業許可申請を行うケースでは、誓約書等を添付して、確実に食品衛生責任者講習会を受けることの制約が必要になります。(この場合、食品衛生責任者講習会受講後に、食品衛生責任者養成講習会終了証を保健所に提示する必要があります。)

設備基準について(設備要件)

飲食店許可を取得するためには、人的要件の他、設備要件も満たす必要があります。

大阪市における設備基準の代表的なものを以下に記載していきます。

二層シンク

食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備を有することが求められます。

これは二層シンクがあれば問題ありません。

良く忘れてしまうポイントとしては、飲食店許可申請後、保健所の担当者の方が現地調査に来られます。

その際に、給湯設備(お湯がでること)も確認されますので、ガスの契約等ができていない場合は、水しかでません。

保健所の担当者は、お湯がでることも確認しますので、水しか出ない場合は、再調査になり、許可が降りるまでの時間が延びてしまうので忘れないように注意が必要です。

手洗い設備

この手洗い設備も良く忘れてしまうので、注意が必要です。

上記の二層シンクとは別で、従業員の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数用意することが求められます。

なので、二層シンクとは別に独立した手洗い設備を設置する必要があります。

また、手洗い設備は、ハンドル式ではなく、以下の構造であることが必要です。↓

<参照:大阪市ホームページ 飲食店等の食品衛生法に基づく営業許可より一部抜粋>

扉付きの食器棚

ネズミや虫等が入り込まないように、食器類を収納しておく扉付きの食器棚が必要になります。

排水設備

調理場を清潔に保つこと等、床掃除ができるように排水設備(排水溝や排水口等)が設置されていることが求められます。

ただし、バー等を開業することを目的に飲食店許可を取得する場合、酒類(お酒)と「乾きもの」のみを提供する場合は、排水設備がなくても飲食店許可を取得することができます。

しかし、原則的に飲食店許可を取得するためには排水設備が必要になるので、忘れないように注意が必要です。

調理場の区画

調理場は営業専用であることが求められます。

そのため、例えば、住居と台所との兼用は認められていません。

また、調理場と客席の境界を設ける必要があります。

例えば、調理場と客のスペースとが明確に区分できるようにドアの仕切りを設けたり、のれん等を設置し、スペースを区分しておく必要があります。

トイレや更衣室

飲食店内にトイレを設置(入居しているビル内にある場合も大丈夫です。)し、専用の手洗い設備が設けれていることが必要です。

また、従業員が制服等に着替えるための更衣スペースも必要になります。

上記のように飲食店営業許可を取得するためには、「人的要件」以外にも「設備要件」もチェックされるため、しっかりとした準備を進めていく必要があります。

上記以外にも「冷蔵設備・温度計等」の設置、「ゴミ箱」の設置等、細かい点も確認されるので、営業許可を申請するまでに整えておかなければなりません。

以下に、大阪市から公表されている設備基準について掲載しておきます。↓

<参照:大阪市ホームページより 一部抜粋>

飲食店営業許可申請の手続きの流れ


上記で記載した要件を全て満たしたうえで、飲食店営業許可申請を行うことになります。

ここでは、簡単に飲食店営業許可申請の手続きの流れについて考えていきます。

図面の準備や設備の確認

まずは、自身がオープンする飲食店にどのような設備を設置するのか?等を事前に考えて、決めておく必要があります。

また、その構想を踏まえた上で、図面を作成し、配置図等もわかるように記載しておきます。

飲食店の店舗を管轄する保健所に事前相談

店内の配置する設備の構想等が明確になり、図面も作成した後に、飲食店の店舗を管轄する保健所に事前相談に行きます。

事前相談で指摘事項があれば、修正し、再度相談に行きます。

飲食店営業許可申請をした後に、現地調査がありますので、当然、相談内容(申請内容)と異なる図面で相談していた場合は、現地調査の時点で指示が入り、修正を求められますので注意が必要です。

飲食店営業許可申請

相談した内容で問題がなければ、書類を作成し、提出します。

申請後、後日、保健所の担当者から電話があり、現地調査の日程を調整し、決定します。

担当者の予定等にもよりますが、1週間以内に現地調査には来てくれることが多いです。

現地調査

提出した図面等をもとに、異なる点がないか保健所の担当者が現地に来て調査を行います。

なお、この時点で提出書類と差異がある場合は、指摘事項を修正し、再度現地調査が必要になるため、許可までの時間が延びてしまいます。

営業許可

現地調査に問題がなければ、概ね2週間程度で営業許可証が交付されるので、保健所の窓口まで受け取りに行きます。
なお、交付日は、店舗の調査時に通知書という形で教えてくれます。

飲食店営業許可証は、店内に掲示する必要があるので、忘れずに掲示しておきましょう。

飲食店営業許可の必要書類は?


飲食店営業許可を取得するための必要書類は以下のとおりです。

・営業許可申請書(PDFデータ
・営業施設の構造及び設備を示す図面
・食品衛生責任者の資格を証する書類(調理師免許証等)
・申請者が法人の場合、登記事項証明書(最新の情報が反映されたもの)

等が必要になります。
また、井戸水等を使用する場合は、水質検査成績書等も必要になります。

そして、申請時に手数料(飲食店営業16,000円、菓子製造業14,000円、乳類・魚介類、食肉販売業各9,600円、そうざい製造業21,000円など)を支払うことになります。

飲食店営業許可を申請する保健所は?


飲食店営業許可の申請先は、店舗の所在地を管轄する保健所になります。

以下に大阪市で飲食店営業許可を申請する場合の提出先の保健所を記載しておきます。

北部生活衛生監視事務所

「北区・都島区・淀川区・東淀川区・旭区」で飲食店許可を申請する場合は、北部生活衛生監視事務所に書類を提出することになります。

以下、北部生活衛生監視事務所の情報です。

名称:北部生活衛生監視事務所
住所:北区扇町2-1-27(北区役所2階)
電話:06-6313-9518

西部生活衛生監視事務所

福島区・此花区・西区・港区・大正区・西淀川区」で飲食店許可を申請する場合は、西部生活衛生監視事務所に書類を提出することになります。

以下、西部生活衛生監視事務所の情報です。

名称:西部生活衛生監視事務所
住所:港区市岡1-15-25(港区役所4階)
電話:06-6576-9240

東部生活衛生監視事務所

中央区・天王寺区・浪速区・東成区・生野区・城東区・鶴見区」で飲食店許可を申請する場合は、東部生活衛生監視事務所に書類を提出することになります。

以下、東部生活衛生監視事務所の情報です。

名称:東部生活衛生監視事務所
住所:中央区久太郎町1-2-27(中央区役所3階)
電話:06-6267-9888

南東部生活衛生監視事務所

阿倍野区・東住吉区・平野区」で飲食店許可を申請する場合は、南東部生活衛生監視事務所に書類を提出することになります。

以下、南東部生活衛生監視事務所の情報です。

名称:南東部生活衛生監視事務所
住所:阿倍野区旭町1-1-17(サンビル阿倍野3階)
電話:06-6647-0723

南西部生活衛生監視事務所

住之江区・住吉区・西成区」で飲食店許可を申請する場合は、南西部生活衛生監視事務所に書類を提出することになります。

以下、南西部生活衛生監視事務所の情報です。

名称:南西部生活衛生監視事務所
住所:住之江区浜口東3-5-16(住之江区保健福祉センター分館)
電話:06-4301-7240

上記のように開業する飲食店の場所によって、申請先が異なりますので、間違えないように注意が必要です。

飲食店営業許可は行政書士が専門


「飲食店営業許可」や「深夜酒類提供飲食店営業の届出」等の手続きは、書類の作成、行政との打ち合わせが必要になり、行政手続きに不慣れな方にとっては、多大な労力がかかってしまい、とても煩雑な手続きです。

そのため、飲食店営業の許可を取得したい場合は、行政手続きの専門家である行政書士に相談することで、効率的に手続きを進めていくことができるようになります。

行政書士に飲食店営業許可を依頼した場合の費用

行政書士に依頼しないで、個人で飲食店営業許可の手続きを行った場合に発生する費用は、法定手数料の16,000円と書類取得費及び交通費等(数千円程度)が発生する費用となります。

行政書士に依頼した場合は、飲食店営業許可の報酬は、割合が多い順に以下のとおりです。

①4万円~6万円・・・51.4%
②2万円~4万円・・・34.7%
③6万円~8万円・・・6.9%
④10万円以上2.8%

上記のような統計がでております。


<参照:日本行政書士会連合会 報酬額の統計(令和2年度報酬額統計調査の結果)より一部抜粋>

そのため、おおよその費用の相場は、5万円あたりが平均金額になると考えられます。(もちろん、難易度によっては高額になるケースもあります。)

まとめ


今回は、大阪市で飲食店営業許可の取得を検討している方に向けて、飲食店営業許可について考えてきました。

飲食店を開店する場合は、必ず飲食店営業許可を取得しなければ、無許可営業として法令に違反してしまうので、必ず許可を取得する必要があります。

飲食店営業許可取得でお困りの方は、行政書士が専門家ですので、ぜひ一度相談してみてください。

今回の記事が大阪市で飲食店の開業を検討している方の参考になれば幸いです。

以下の記事も良く読まれています。↓

関連記事

最近の記事

  1. 建設業許可申請にかかる費用について考えてみました。

  2. 建設業(特定技能)の受入計画について解説

  3. 建設業の専任技術者を変更する時の手続きについて解説

  4. 建設業許可を取得する際に定款で注意すべきこと

  5. 特区民泊の許可に必要な消防法令適合通知書について