深夜酒類提供飲食店営業

深夜酒類提供飲食店営業届にかかる費用について考えてみました

バーの開業等、深夜0時を超えてお酒(酒類)を提供する場合は、飲食店営業の許可だけではなく、管轄の警察署に深夜酒類提供飲食店営業の届出を行う必要があります。

深夜酒類提供飲食店の届出の手続きを行う場合、「個人」で進めるか「行政書士」に依頼するか、どちらかの方法があります。

そこで、今回は深夜酒類提供飲食店営業の届出にかかる費用について考えていきたいと思います。

バー等の開業を検討している事業者の方の参考になれば幸いです。

酒類提供飲食店営業の届出については以下の記事でも詳しく解説をしているので参考にしてください。↓

自分で深夜酒類提供飲食店営業の届出をした場合にかかる費用は?


深夜酒類提供飲食店営業の届出は、その名称のとおり「届出」なので、申請にかかる手数料はありません。

そのため、行政書士に依頼をしないで、全て自分自身で準備して届出を行った場合にかかる費用は0円となります。

参考に警察署に対して行う手続きにかかる手数料の代表的なものを以下に掲載しておきます。↓

ただし、手数料は0円ですが、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出をするためには、住民票等の書類を別途取得しなければならないため、書類取得にかかる費用等は別途必要になります。

また、「深夜酒類提供飲食店営業」の届出を行うためには、飲食店営業の許可を保健所から取得しなければならず、「飲食店営業許可」の手続きは保健所で行う必要があるため、間違えないように注意が必要です。

自分で深夜酒類提供飲食店営業の届出をした場合の具体例

具体的な届出の希望者
・個人事業主としてバーを開業
・店舗は大阪市北区梅田に立地している
・ショットバーなので接待行為は行わない
・店舗は賃貸で借り、飲食店営業許可も申請中
・内装等も全て完了し、いつでも開店できる状態

上記の事例でバーを開業したい方の「深夜酒類提供飲食店営業の届出」について考えていきます。

店舗を管轄する警察署に相談

深夜酒類提供飲食店営業の届出をするために必要な書類等を確認するために、お店の所在地を管轄する警察署に相談に行きます。

大阪市北区梅田を管轄する警察署は、曽根崎警察が該当するため、曽根崎警察署を訪問し、必要な書類等の相談をしました。

曽根崎警察署には自転車で行ったので、交通費は0円でした。

警察署の方は親切に必要な書類等について教えてくれましたが、確実に届出をするなら「行政書士」に相談した方がスムーズだと教えてくれました。

住民票の取得

警察署に相談した結果、本籍地が記載の「住民票」が必要だとわかったので、住民票を取得しに大阪市北区役所まで、そのまま自転車で向かいました。

自転車で行ったため、交通費は0円でしたが、住民票の取得には300円がかかりました。

そのためここでかかった費用は以下のとおりです。

住民票の取得・・・300円

使用承諾書の取得

店舗が賃貸であるため、店舗の所有者(オーナー)から使用承諾書の取得が必要であると警察署で言われました。

使用承諾書のひな形は、警察署の担当者からもらったので、建物の管理会社に連絡をして、使用承諾書が必要である旨を伝えました。

管理会社からオーナーに確認を取ってもらい、快く承諾を得ることができたので、早速管理会社宛に使用承諾書を郵送しました。

郵送費にはだいたい200円程度かかりました。

そのため、使用承諾書の取得にかかった費用は以下のとおりです。

使用承諾書の取得・・・約200円

使用承諾書のサンプルも以下に掲載しておきます。↓

図面の作成

飲食店営業許可を申請した時の図面では届出はできないとのことだったので、改めて図面を作成することにしました。

設備の配置図、求積図、求積表等を詳細に作成した図面が必要であったため、素人ではどうしても作成することができず、友人の建築士が作ってくれるとのことでお願いをしました。

図面の作成に4万円支払うことになりました。

そのため、図面の作成にかかった費用は以下のとおりです。

図面作成・・・40,000円

書類の作成

警察署に届出をするための書類作成が必要だったので、「深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書」「営業の方法」という書類に必要事項を記載していきました。

記載した内容があっているか不安でしたが、なんとか作成することができました。

深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書の書き方については、以下の記事でも詳しく解説をしています。↓

必要書類の準備

上記書類以外にも「賃貸借契約書のコピー」「営業所付近の見取図」「メニュー表」等も届出には必要なので準備をしました。

証明願が必要

全ての準備ができたと思いましたが、飲食店営業許可証のコピーが必要であることがわかりました。

飲食店営業許可申請は既に行っていますが、まだ、「飲食店営業許可証」は発行されていません。

なるべく早く届出をしたいので、どうしたらよいか警察署に相談したら、保健所から「証明願い」をもらうことで届出ができると教えてもらうことができました。

早速、保健所に伺い、飲食店営業許可申請を行っている旨の「証明願」を発行してもらいました。

飲食店営業許可については以下の記事で詳しく解説をしています。↓

曽根崎警察で深夜酒類提供飲食店営業の届出

全ての書類が揃ったので、曽根崎警察署に書類を提出に行きました。

深夜酒類提供飲食店営業の届出をする時は、事前に連絡をしてください。」と警察署の担当者の方から言われていたので、事前に予約をして、届出に行ったためスムーズに提出できました。

ここまでが自分で深夜酒類提供飲食店営業の届出をするときの流れです。

かかる費用は、おそらく合計で5万円程度ではないでしょうか。

また、図面作成も自身で行った場合は、数千円で届出をすることができると考えられます。

時間的な負担は、書類の不備などが見つかり、申請日や警察署へ行く回数が増えるたびに重くかかってきます。当然仕事を抜けて手続きをする場合は、減額等も考えなくてはなりません。

今回は、スムーズに行きましたが、実際は、店舗を転貸で使用するケース等、色々な問題が出てきて、途中で頓挫することもあります。

深夜酒類提供飲食店営業届をする時の必要書類


上記事例から「深夜酒類提供飲食店営業届」に必要となる書類は、概ね以下のものになります。(状況によっては、当然追加で必要になる書類がありますので、代表的な書類になります。)

①深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出書
②営業の方法
③営業所の配置状況を記載した図面(座席やテーブル等)
④照明、音響、防音設備を記載した図面
⑤営業所の存在するフロアの平面図
⑥営業所、客室面積の求積図及び求積表
⑦証明願(飲食店営業許可証交付後に警察署に許可証のコピーの提出が必要)
⑧賃貸借契約書のコピー
⑨建物使用承諾書
⑩営業所付近の見取図
⑪メニュー表
⑫住民票(法人の場合は役員全員分が必要となります。また、住民票には本籍地の記載が必要になります。)
⑬その他都道府県の公安委員会が必要とする書類

また、今回は個人事業主の場合で考えてきましたが、法人名義で「深夜酒類提供飲食店営業届」を行う場合は、「会社定款のコピー」「法人登記事項証明書」等も必要になります。

自分で深夜酒類提供飲食店営業届をした時のメリット、デメリット


上述したとおり、「深夜酒類提供飲食店営業の届出」を行う場合は、「自分自身で手続きを行うか」、「行政書士に依頼して手続きを行ってもらうか」のどちらかを選択することになります。

行政書士に依頼した場合にもメリット・デメリットがありますが、個人で手続きをした場合のメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

自分で深夜酒類提供飲食店営業の届出を行った時のメリット

・行政書士に依頼した時に発生する費用がないため、経費を抑えることができる。
・自分のペースで深夜酒類提供飲食店営業の届出をすることができる。

自分で深夜酒類提供飲食店営業の届出をした時のデメリット

・深夜酒類提供飲食店営業の届出をする時の書類は複雑なので、専門家でないと収集や作成に時間がかかる。
・書類確認のために何度も警察署へ行かなければならない。
・図面の作成等も自分自身でしなければならない。
・警察署等の行政機関は平日の朝から夕方までしか対応してくれないので、担当者と直接相談したい時は、仕事を休まなければならないこともある。
・合法的に手続きを進められているかわからない

などといった「メリット」や「デメリット」があります。

つまり、自分自身で深夜酒類提供飲食店営業の届出をした場合の一番のデメリットは「無駄な時間を使ってしまう」ということです。

行政手続きに慣れていない場合は、書類の収集だけでも時間がかかる上、図面や書類の作成に時間がかかってしまうことは仕方がないのかもしれません。

その反面、自分自身で深夜酒類提供飲食店営業の届出を行うことの最も大きなメリットは「費用がかからない」ということです。

行政書士などの専門家に依頼すると、対価として報酬を支払う必要があります。

上述した通り、深夜酒類提供飲食店営業の届出は「届出」なので、警察署に支払う手数料はありません。

そのため、必要な経費は書類の取得にかかる費用のみとなります。

行政書士に依頼した場合にかかる費用は?


行政書士に依頼することで深夜酒類提供飲食店営業の届出を代理で行ってもらうことができます。

もちろん行政書士業務として届出の代理を行うため対価が発生します。

深夜酒類提供飲食店営業の届出にかかる費用は、各行政書士事務所によって異なりますが、概ね7万円から20万円の間で推移していると見受けられます。

下では、インターネットで調べた、ある行政書士事務所さんの料金プランをご紹介します。

※2022月9時点の情報です。変わっていることがあります。あくまでネット上で調べた情報ですのでご留意ください。

ある行政書士事務所の事例1

某行政書士事務所Aでは、深夜酒類提供飲食営業の届出手続きを7万円~としております。

また、警察署への届出まで対応する場合は、9万円~としております。

但し書きで、店舗の構造や面積によって費用が変動する可能性があると記載されていることから、全てをフルサポートで依頼すると10万円程度必要になるのではないでしょうか?

また、この費用には飲食店営業許可申請は含まれていないので、別途必要になります。

ある行政書士事務所の事例2

某行政書士事務所Bでは、深夜酒類提供飲食店営業の届出を12万円~としています。

また、飲食店営業許可と併せて依頼した場合は、15万円~と設定しています。

この事務所のように、「深夜酒類提供飲食店営業届」「飲食店営業許可」をセットで依頼した場合は、割引価格を適用している事務所も見受けられます。

行政書士会から発表されている深夜酒類提供飲食店営業の届出にかかる費用の統計表では?


上記の情報以外からでも、行政書士会が発表している業務報酬額の統計表からわかる、深夜酒類提供飲食店営業の届出を依頼した場合の行政書士の費用について検討していきます。

報酬額統計表では、深夜酒類提供飲食店営業の届出の報酬で割合が多い上位3つは以下のとおりです。

①10万円~12.5万円(37.5%)
②7.5万円~10万円(22.7%)
③5万円~7.5万円(15.9%)

※12.5万円以上は約9%。


<参照:日本行政書士会連合会 報酬額の統計(令和2年度報酬額統計調査の結果より)>

そのため、おおよそ深夜酒類提供飲食店営業の届出には10万円以上必要であると想定できます。

行政書士事務所で費用が異なる理由は?


上述した通り、各行政書士事務所によっては費用に差があります。

費用に差がある理由としては、以下のようなことが考えられます。

①深夜酒類提供飲食店営業の届出は申請者の状況や店舗の構造等によって難易度が異なり、申請者によっては費用に差が出る場合がある。
②経験がないので費用を安くしてお客様の問い合わせを増やそうと価格競争をしかけている。
③深夜酒類提供飲食店営業届を業務としてあまりこなしていないので、適正価格がわからない。
④安く見せているが、後から必要なサービスを付け足し、別途費用を請求する。

など色々な要因があります。

もちろん行政書士にかかる費用は安いにこしたことはありませんが、行政書士は目に見えないサービスを提供する仕事です。

そのため、一度直接打ち合わせをした上で、信頼できる行政書士だと感じた方に依頼することが最善の方法だと考えられます。

行政書士を選ぶ時のポイント

実際に話してみて信頼できるかどうかで判断することが良い行政書士に出会えるポイントではありますが、それ以外にも以下のようなことも見ることをお勧めします。

・親身になった相談にのってくれる
・深夜酒類提供飲食店営業についての知識がある
・行政書士としての実務経験が豊富
・コミュニケーション能力が備わっている
・自宅兼事務所ではなく、独立した事務所で行政書士事務所を運営している。

上記ポイントは当たり前のことですができていない事務所も多く見受けられますので、是非参考にして頂ければと思います。

深夜酒類提供飲食店営業の届出はいつまでにしなければならない?


深夜酒類提供飲食店営業開始届は、営業開始の10日前までに届出が必要になります。

また、風俗営業許可と併せて取得することは実務上できないので、注意が必要です。

まとめ


今回は、深夜酒類提供飲食店営業の届出にかかる費用について考えてきました。

警察署に対して行う手続きにはローカルルールというものが存在し、通常必要ではない書類の提出等が求められることもあります。

また、行政手続きに慣れていない場合は、書類の不備等で届出までに時間がかかり、開店準備に支障が生じることも多々あります。

そのようなことを避けるために、バー等の開業を検討している方は、是非一度、専門家である行政書士に相談してみてください。

今回の記事が、深夜酒類提供飲食店営業の届出を検討している方の参考になれば幸いです。

以下の記事もよく読まれているので参考にしてください。↓

行政書士事務所を選ぶポイントも動画で解説をしています。↓

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