古物商許可申請

古物商許可申請をするための費用について色々考えてみました。

ブランド品の買取店等の中古品を売買する時には、古物商許可が必要になります。

古物商許可を取得しないで、中古品の売買を行ってしまうと「無許可営業」として罰せられることもあります。

古物営業の許可は行政(警察署)に対して手続きを行うので、不慣れな方はどのように手続きを進めていけばよいかわからかったり、費用がどれくらいかかるのか気になったりと不安になることもあると思います。

そこで、今回は古物商許可申請にかかる費用について考えていきたいと思います。

古物商許可申請を検討している方の参考になれば幸いです。

古物商許可については以下の記事でも詳しく解説をしているので参考にしてください。↓

古物商許可を個人でした場合の費用は?


古物商許可申請は個人でするか行政書士等の専門家に依頼するかで必要になる費用が変わってきます。

まずは自分自身で古物商許可申請を行った場合の費用について考えていきます。

古物商許可は警察署に対して書類を提出して手続きを行います。

そのため申請時に、警察署の現金出納課等で19,000円を支払わなければなりません。

ちなみに、深夜0時以降に酒類(お酒)等を提供するバー等は深夜酒類提供飲食店営業の届出を警察署にしなければなりませんが、こちらは届出なので警察署に支払う費用は0円です。

ただし、古物商許可の根拠法は「古物営業法」、深夜酒類提供飲食店営業の届出は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」なので、提出先が警察署であっても、そもそもの法令根拠が異なりますので、注意が必要です。

また、上記手数料は申請時に支払う手数料になるため、当然申請に必要な書類の取得費等は別途実費としてかかってきます

例えば、住民票や法人の登記事項証明書等などが考えられます。

個人で古物商許可申請をした場合の具体例

具体的な古物商許可取得の希望者
①ブランド品の買取店をオープンしたい
②法人名義で許可を取得したい
③法人の役員は1人(自身が代表)
④法人所在地は大阪市中央区心斎筋
⑤店舗は賃貸
⑥店舗の管理者は別で設置

警察署に相談に行く

まずは、営業所の所在地を管轄する警察署に相談に行きます。

大阪市中央区心斎橋筋に本店があるので、大阪府南警察署に行きました。

警察署まで自転車で行けば、南警察署には駐輪場があるので交通費は0円です。

役員全員の住民票と身分証明書の取得

警察署で相談をした結果、役所等で取らなければならない書類があるということがわかったので、書類を取得をしに行きました。

役員全員分のものが必要であるとのことでしたが、役員が1人の1人代表の会社だったので1人分のもので大丈夫でした。

大阪市の場合、住民票と身分証明書にかかる費用は以下の通りです。

住民票・・・300円
身分証明書・・・300円

南警察署から中央区役所まで自転車で行ったので、交通費は0円でした。

法人の登記事項証明書の取得

警察署で役所以外にも法務局で法人の登記事項証明書の取得が必要であると教えてもらったので、中央区役所から近い「大阪法務局(本局)」に自転車で登記事項証明書を取得しに行きました。

法人の登記事項証明書は、窓口で収入印紙を購入して、発行してもらうことができました。

収入印紙代は600円でした。

そのため法人の登記事項証明書の取得にかかった費用は以下のとおりです。

法人の登記事項証明書・・・600円

なお、中央区役所から自転車で行ったため、交通費は0円です。

管理者の住民票と身分証明書の取得

役員は1人だけだったので、1人分で問題なかったのですが、店舗の管理者の住民票と身分証明書も必要であるとのことだったので、管理者になる従業員に住民票と身分証明書の取得をお願いしました。

会社の経費として以下の金額がかかりました。

住民票・・・300円
身分証明書・・・300円

大阪市内に本籍地がない場合等は、郵送にて申請になるため郵送代(切手代)や定額小為替の手数料(1枚につき200円)がかかる場合もあります。

法人の定款と使用承諾書の準備

法人関係で必要な書類として「定款」が必要であるということだったので、会社に保管しておいた定款をコピーして、準備しました。

また、店舗が賃貸だったため、店舗の所有者から古物営業をしても良い旨の「使用承諾書」の提出も求められたため、管理会社に連絡をして、使用承諾書の準備をしてもらいました。

使用承諾書は、警察署によっては提出が不要であるケースもあるみたいですが、南警察署では使用承諾書が必要だということで、準備しました。

警察署にはローカルルールというものがあるらしく、古物商許可申請をする警察署によって若干必要書類が異なることもあるみたいです。

オーナが良い人で、快く使用承諾書も書いてくれるとのことだったので、安心しました。

次回からは店舗を借りる際には事前に古物営業を行う旨の話をしておいた方が良いなと感じました。

使用承諾書については以下の記事でも解説をしています。↓

古物商許可申請書、誓約書、略歴書等の作成

警察署から申請用紙等をもらっていたので、取得した書類等を参考にして書類を作成していきます。

誓約書と略歴書は管理者のものも必要だったので、管理者にも協力してもらい作成しました。

大阪府警察のホームページでも作成書類等がダウンロードできるので以下に掲載しておきます。↓

大阪府警察ホームページ 古物商許可申請

自社ホームページの情報も必要

ホームページ内で古物の売買を掲載する場合は、ホームページの情報も提供しなければなりません。

「ホームページのURL」と「ドメイン登録が誰の登録なのか」ということを疎明する資料を提出することになります。

ホームページのURLは簡単に各ことができましたが、登録情報は以下のいずれかが必要であるとのことだったので、「WHO IS検索」からその画面をプリントアウトして提出することにしました。

ホームページの登録者情報の確認には以下の方法があります。

1,プロバイダ等から郵送・FAX・メールで送付された書面 「登録者名」、「ドメイン」、「発行元(プロバイダ名)」の3点が記載されている書面
(例えば、「登録完了のお知らせ」、「開通通知」、「設定通知書」、「ユーザー証明書」「ドメイン取得証」など)
2,ドメイン取得サービスを行なっているサイトのプリントアウト
例えば、「ドメイン検索」、「WHOIS検索」など、ドメインの登録状況や登録者を検索できるサイトでURLのドメインを検索し、その画面をプリントアウトして提出。

警察署に古物商許可申請

全ての書類を収集し、作成が完成したら、店舗を管轄する警察署に書類を提出します。

なお、警察署の担当者から「申請をする時は事前に連絡してください。事件などがあった場合、不在の時もあるので。」と伝えられていたので、あらかじめ連絡をして予約をしておいたので、スムーズに申請まで行くことができました。

今回は、スムーズに行きましたが、実際は、色々な問題が出てきて、途中で頓挫することもあります。

また、相談に行く時間や書類の収集・作成する時間等もあり、仕事と併行して進めていくことはとても大変な作業でした。

古物商許可申請に必要な書類は?


上記事例から古物商許可申請に必要な書類は以下の書類になります。(状況によっては別の書類の提出が求められることもありますので、注意してください。)

個人で古物商許可申請をした時のメリット・デメリットは?


行政書士などの専門家に依頼した時にもメリット、デメリットはありますが、自分で古物商許可申請をした時のメリット、デメリットにはどのようなものがあるか考えていきます。

個人で古物商許可申請をした時のメリット

①行政書士などに依頼した時に必要となる費用がかからないので、経費を抑えることができる。
②自分のペースで古物商許可申請をすることができる。

個人で古物商許可申請をした時のデメリット

①警察署などの役所は平日の朝から夕方までしか対応してくれないので、担当者と直接相談したい時は、仕事を休まなければならないこともある。
②書類の作成方法や収集する書類に不備があり、一回で受け付けてもらえず、時間がかかってしまう。
③相談のため何度も警察署に行くことで無駄な時間が増える

などのメリット・デメリットが発生します。

つまり、自分自身で古物商許可申請をした場合のメリットは、一言でまとめると「費用を抑えることができる」ということです。

また、デメリットとしては「時間がかかってしまう。」ということが考えられます。

古物商許可申請を行政書士に依頼した場合の費用は?


行政書士は申請人の代理人として、古物商許可申請を業務として行うことが可能です。

もちろん、業務として行うため当然に対価となる報酬が発生します。

古物商許可申請にかかる費用は、概ね4万円~8万円前後が相場であると考えられます。

下では、インターネットで調べた、ある行政書士事務所さんの料金プランをご紹介します。

※2022年9月時点の情報です。変わっていることがあります。あくまでネット上で調べた情報ですのでご留意ください。

ある行政書士事務所さんの事例1

ある行政書士事務所Aでは、法人の古物商許可申請の料金を4万円と設定しています。(警察署手数料は別)

また、全国対応可能としています。

ただし、全国対応可能となっていますが、実際は古物商許可申請は警察署で行う必要があるので、申請代理まで依頼すると交通費や日当等が別に発生する可能性があり、トータルすると5万円前後になるの可能性があります。

さらに、役員の方が1人追加につき、+8,000円追加という風に、役員の数が多くなれば金額も上がっていきます。

ある行政書士事務所さんの事例2

ある行政書士事務所Bでは、申請書作成と申請書作成+申請代行で費用を分けています。

申請書代行のみの場合は、44,000円(警察署手数料は別)
申請書作成+申請代行は、55,000円(警察署手数料は別)

という風に報酬体系を区分しています。

行政書士会から発表されている古物商許可申請にかかる費用の統計表


上記以外でも、「日本行政書士会連合会」から公表されている「令和2年度報酬額統計調査の結果」から、古物商許可申請の費用について検討していきます。

古物商許可申請の報酬額の割合は以下のように公表されています。

①4万円~6万円(49.8%)
②2万円~4万円(24.6%)
③6万円~8万円(12.3%)
④8万円~10万円(5.5%)

上記金額が全体の大部分を占めております。

つまり、古物商許可申請の費用の相場は、4万円~10万円前後が古物商許可申請を依頼した際に、行政書士に支払う費用の幅になります。


<参照:令和2年度報酬額統計調査の結果より一部抜粋>

行政書士によって費用に差がある理由


上述した通り、行政書士に古物商許可申請を依頼した場合の費用の相場は4万円~10万円の幅に収まることがほとんどであると考えられます。

行政書士事務所によって費用が異なる理由には以下のようなことも想定することができます。

①古物商許可申請は申請者の状況によって、難易度が異なり、申請者によっては費用に差が出る場合がある。
②経験がないので費用を安くしてお客様の問い合わせを増やそうと価格競争をしかけている。
③古物商許可を業務としてあまりこなしていないので、適正価格がわからない。
④安く見せているが、後から必要なサービスを付け足し、別途費用を請求する。

等のケースも考えられます。

もちろん行政書士にかかる費用は安いにこしたことはありませんが、行政書士は目に見えないサービスを提供する業種でもありますので、一度相談という形で自身で実際に話をしてみて、信頼できる行政書士事務所を見つけて依頼することが最も良い方法です。

古物商許可申請を行政書士を選ぶ時のポイント

上述したとおり、実際に相談をしてみて、信頼できるかどうかで判断することが良い行政書士に出会えるポイントではありますが、それ以外にも以下のポイントも確認してみてください。

・親身になった相談にのってくれる
・帰化申請についての知識がある
・コミュニケーション能力が備わっている
・自宅兼事務所ではなく、独立した事務所で行政書士事務所を運営している。

上記ポイントは当たり前のことですが、できていない事務所も多く見受けられますので、是非参考にして頂ければと思います。

外国人の方でも古物商許可は取得できる?


上記の事例は日本人を想定して記載していますが、外国人の方であっても古物商許可の取得は可能です。

しかし、提出しなければならない書類が多少、日本人が古物商許可申請をする時とは異なりますので注意が必要です。

また、自身の在留資格で古物営業を行っても良いのか?ということもしっかりと確認しておく必要があります。

外国人の方で古物商許可の取得を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。↓

古物商許可申請から許可取得までの期間は?


古物商許可申請の標準処理期間は40日と公表されています。

そのため、申請後概ね40日前後で許可・不許可の結果がでます。

標準処理期間とは、あくまでも目安の期間ですが、40日よりも早く結果が出ることもあれば、40日を超えて結果が出ることもあります。

そのため、古物商を事業として行う場合は、標準処理期間等の期間も考慮にいれて準備を進めていくことになります。

まとめ


今回は古物商許可申請にかかる費用について考えてきました。

古物商許可は、警察署に対して手続きを行うため、行政手続きに慣れていない場合は、大きく時間を浪費してしまう可能性があります。

そのような時間の無断を避けるために、専門家である行政書士に相談すれば効率的に手続きを行ってくれます。

古物商許可取得を検討している方は、ぜひ一度行政書士に相談してみてください。

今回の記事が古物商許可取得を検討している方の参考になれば幸いです。

以下の記事も良く読まれていますので参考にしてください。↓

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