婚前契約書

婚前契約書の内容は?結婚前にすることを考えてみよう!

海外では、結婚をする前にすることの一つとして夫婦が共に内容を考えて、婚前契約書を作成するということが主流になっています。

日本ではまだまだ、なじみのない婚前契約書ですが、最近の傾向として少しずつ、結婚前に婚前契約書を作成しておきたいという人が増えているように感じています。

そこで今回は、結婚前に作成する婚前契約書の内容などについて考えていきます。

婚前契約書の作成を検討している方の参考になれば幸いです。

婚前契約書はプレナップと呼ばれることも


婚前契約とは、その名称のとおり、結婚前のカップルが結ぶ契約のことを言います。

また、婚前契約はプレナップと呼ばれることもあり、こちらの名称で聞いたことがある方も多いと思います。

プレナップ(婚前契約)については、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。↓

結婚前に話し合いをすることが何よりも意味がある


婚前契約書の作成を検討する方が増えてきている理由の一つは、働く女性が増えたということです。

最近では、キャリアを積み独立して大きなビジネスを動かしている女性が多く増えてきました。
また、自分らしく生きていきたいという自己実現を達成するために、結婚し・出産しても働きたいという考えや、家事や育児も夫に手伝って欲しい。など色々な思いがあります。

そのような思いや約束について、結婚前に口約束ではなく、書面という形式に残しておくことで、お互いにとって安心して結婚生活を送ることができます。
この約束を書面にしておくことが、婚前契約書を作成することのメリットの一つになります。

一方、婚前契約書を作成する理由には、離婚という問題もあります。

結婚前に離婚のことを考えるというのは、ネガティブなことかもしれませんが、近年日本では3組に1組の割合で離婚をしているという事実があります。

まだまだ、日本で結婚して出産をすると家庭に入る女性が多いので、結婚後において自身の収入が少ないために、経済的な不安があるために離婚に踏み切れないという方が多くいらっしゃいます。

仮に離婚になった場合は、夫婦関係が破綻していることが多いので、そのような状況になった場合は、冷静に話し合いをすることが難しいケースもあります。

将来のことをしっかりと考え話し合いをするために、結婚前に十分に話し合うことが大切なことになります。

そこで、婚前契約書を作成することで、将来の目標、お金について、約束事などの不安を話し合うことで、相手の考えを知ることもでき、結婚生活に向けた心配が解消され、安心して結婚することができるようになります。

婚前契約書の種類は?

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婚前契約書にはいくつかの種類がありますが、今回は2種類について書いていきます。

通常の契約書

住居を借りるとき、お金を借りるときなどは賃貸借契約書や金銭消費貸借契約書といったように、書面で契約を結ぶと思います。
口約束でも契約自体は成立しますが、書面に残すことにより裁判で争った場合等は無効な内容を定めていない限り、証拠として使用することができます。

つまり
婚前契約書を書面で作成することにより、「言った」「言わない」といった争いを事前に防ぐことができます。

公正証書

婚前契約書の原案を公証役場に持って行き、公証人に契約書を作成してもらいます。

公証人に作成してもらうことで、婚前契約書に強い法的効力が付与されるので、通常の契約書よりも証明力が高くなります。

しかし、原案などの作成に法的知識が必要になり、行政書士等の法務の専門家に依頼した方がスムーズに公正証書の作成が進むため、専門家に相談することをお勧めします。

結婚後に契約を結ぶことはできないの?


もちろん、婚前でも婚姻後でも契約を結ぶこと自体は可能です。
しかし、婚姻後の契約は民法754条の夫婦間の契約取消権に注意しなければなりません。

夫婦間の契約取消権(754条)とは

民法上、夫婦間の契約取消権(754条)では、以下のように規定されています。

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

と規定されています。

つまり、婚姻後の夫婦が交わした契約は、夫婦が円満な関係であればいつでも取消すことができることになります。(夫婦関係が破綻後は取消すことはできません。)

上記理由から、婚前に結んだ契約は夫婦になる前、言い換えれば「他人」の時に結んだ契約となるので、取消すことが難しくなります。

婚前と結婚後に結ぶ契約には、簡単にまとめると上記の違いが存在することになります。

婚前契約書の内容は?

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契約は強行法規や公序良俗に反しないような内容であれば、原則的にはお互いの合意の上で自由に決めることができます。

つまり、あきらかに常識に反していなければ、ある程度は自由に決めても問題はありません。

そのことを踏まえて、婚前契約書を作成する時に結ぶ代表的な約束事を考えていきます。

婚前契約書の内容

婚前契約書を作成する時には具体的に以下のような内容を決めていくことになります。

1、どのような夫婦になりたいか

こんな夫婦になっていきたい。など夫婦関係の目標などを記載していきます。

2、結婚後の仕事、家事の分担について

結婚後も働くのか?それとも専業主婦(夫)になるのか?家事の役割分担はどうするのかなどを記載していきます。

3、子育てについて

教育方針や子育ての役割分担などを記載していきます。

4、お金のこと

家計の管理は誰がするのか?お小遣いは毎月いくらなのか?給料のうち何割を家計にいれるのか?毎月いくら貯金するのか?など記載していきます。

5、親戚付き合いについて

毎年お盆や正月は帰省する。お互いの親族とも仲良く付き合うように努力していく。など記載していきます。

6、浮気をした場合などの約束事

浮気をした場合は、慰謝料を支払うこと。すぐに離婚協議を始めること。浮気をしているような怪しい行動があればすぐに説明する義務を負うことなどを記載していきます。

7、その他のこと

結婚記念日は外食する。デートは手をつなぐ。クリスマスは毎年プレゼントを交換するなど決めておきたいことを記載していきます。

上述した通り、契約は原則的には自由に決めることができるので、上記以外にもお互いの合意があれば婚前契約書に記載することは可能です。

しっかり話しあって、将来に向けた前向きな内容を決めていくことが婚前契約の最もよいところだと思いますので、幸せな結婚生活を送る一歩としてお互いが納得するものを作成していくことが大切です。

ただし、自由に決めることができるといっても、法律的に無効な内容を記載すれば当然にその契約は無効になります。

また、公正証書にする場合は、離婚後の親権など不確定要素が強い内容がある場合は、公正証書にすることができない場合もありますので、注意が必要です。

2人で婚前契約書を作成することが不安な場合は、行政書士などの法務の専門家に相談することをお勧めします。

婚前契約書にかけないことは?


上述したとおり、婚前契約書は法律的に無効である内容を記載すれば、当然にその内容は効力を持ちません。

例えば、離婚の約束などは婚前契約書にふさわしくありません。

なぜなら、法律的に離婚事由に該当することは以下に該当する時だからです。

不貞行為

一般的に「不倫」と言われているものが不貞行為です。

ただし、法律で規定されている不貞行為とは、「配偶者のある者が、自由な意志に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を持つこと」を指します。

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、夫婦の同居・協力・扶助の義務を放棄することをいいます。

例えば、以下のようなケースです。

・理由なく同居を拒否する
・収入があるのに配偶者に生活費を渡さない
・DVなどによって配偶者が家にいられない状況を意図的に作っている

等が悪意の遺棄が認められるケースです。

配偶者の生死が3年以上不明

何らかの理由で配偶者の生死を3年以上確認できず、現在までその状況が続いている場合は離婚請求をすることができます。

配偶者が強度の精神病患者で回復の見込みが無い

配偶者が強度の精神病により、夫婦に義務付けられている婚姻生活の相互協力や扶助が果たせない状況にあれば、離婚請求をすることができます。

ただし、このケースにおいては、離婚することで配偶者の生活状況が著しく悪化する可能性もあるため、安易に離婚を裁判所が認めてくれません。

その他婚姻を継続しがたい重大な事由

民法第770条の抽象的な原因としての離婚理由と認定されるものです。

例えば、性格の不一致等が代表的な事由です。

上記のケースに該当する場合は、法定離婚事由になりますので、婚前契約書に書かなくても当然に離婚することができます。

ただし、確認のために婚前契約書に記載することは可能です。

上記の事由以外で離婚する約束を記載したとしても、離婚事由には該当しないため、必ずしも離婚できるかと言われると難しくなることもあります。

また、公正証書にする場合は、公証人が認めてくれない可能性も高くなります。

まとめ

結婚前にする婚前契約書について書いていきました。
婚前契約書はまだまだ、日本では広がってはいませんが、テレビでも取り上げられる機会もあり、少しずつ婚前契約を考える方も増えていると感じています。

婚前契約書はあくまでも、幸せな家庭を構築するための一つのツールですので、前向きな内容を二人で話し合って、決めていくことが大切です。

婚前契約も契約ですので、2人で作成することが不安な場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

当事務所でも、幸せな結婚生活を送るためのサポートとして、婚前契約書の作成も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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