在留資格

経営管理ビザにおける事業計画書の重要なポイントを解説

外国人の方が日本で会社設立などによって、事業を行う場合には在留資格「経営管理」を取得して活動することになります。(永住権等の在留資格を取得している場合は、そのままの在留資格で活動することができます。)

「経営管理」ビザを取得したい外国人の方の多くは、新しく日本で会社を立ち上げてビジネス展開を考えている方となります。

「経営管理ビザ」は一般的に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と併せて就労ビザと呼ばれていますが、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は雇用されているため、自身で経営を行う「経営管理」の在留資格とは申請書類等が異なってきます。

また、自身で会社を経営することになりますので、在留資格の申請をする時に「事業計画書」の提出が必要になります。

「経営管理」ビザの申請では、この「事業計画書」が許可されるために重要な資料になってきます。

そこで、今回は「経営管理」ビザの申請にあたり重要な資料となる「事業計画書」について考えていきたいと思います。

「経営管理」ビザの申請を検討している外国人の方の参考になれば幸いです。

「経営管理」ビザについては、以下の記事でも解説をしています。↓

事業計画書とは?


そもそも事業計画書とはどういうものなのでしょうか。
コトバンクでは、事業計画書を

事業計画とは、事業概要・経営方針・事業内容・経営環境・事業展開戦略・財務計画等を3〜5年間(上場までが一般的)策定したもの(目標数値)。 事業計画書とはそれらを記した資料。

と定義しています。

つまり、事業計画書とは、経営する法人の事業についての見通しを伝えるためのものになります。

経営管理ビザの要件は?


「経営管理」ビザを取得するための要件については、以下のものがあります。

1,申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在していること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
2,申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ)その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ)資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ)イ)又はロ)に準ずる規模であると認められるものであること。

等の要件を満たすことが「経営管理」ビザを取得するための前提となります。

また、「管理」に従事する場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験を有し、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要になります。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、学歴や職歴の要件を求められていましたが、「経営管理」ビザで事業の経営を行う場合には、学歴や職歴の要件を求められていないという点が「技術・人文知識・国際業務」との大きな違いの1つです。

事業計画書以外で「経営管理」ビザの取得に必要な書類については、以下の記事で解説をしています。↓

経営管理ビザの申請で事業計画書が重要な理由


「経営管理」ビザを取得するためには「事業計画書」を提出しなければならないことは上述したとおりです。

「経営管理」ビザの申請にあたって、事業計画書が重要な理由は、そもそも上述したとおり、会社を経営するにあたって「経営管理」ビザは、「学歴」や「職歴」の要件を求められていません。

そのため、「経営管理」ビザを取得する外国人の方が、本当に日本でビジネスを成功させることができるのか?また、そもそも事業を本当に行いたいと考えているのか?等を立証していく必要があります。

その立証をするための資料として、事業計画書という形で見える化して、出入国在留管理庁の審査官を説得していくことになります。

事業の継続性

事業計画書を提出することで、行おうとしている事業が継続し、安定していくことを証明していくことも必要です。

なぜなら、「経営管理」ビザの許可・不許可を審査する上で「事業の継続性」も重要な審査ポイントになるからです。

つまり、事業計画書を提出することで、「外国人の方が経営又は管理に従事する事業が安定的、かつ、継続的に営むことができる」ということを客観的に証明することで、日本で継続して在留できるということを示していくことになります。

経営管理ビザの事業計画書作成のポイント

経営管理ビザを申請するためには「事業を安定的に継続させることができる」ということを審査官に認めてもらう必要があります。
この事業計画書を作成していく上でのポイントは以下のとおりです。

事業の概要、経営理念、会社情報等

実際に「経営管理」ビザを取得してから行う事業の概要を記載していきます。

例えば、旅館業であれば適切に営業許可を取得していることや、なぜその事業を行おうと決めたか等、事業計画の概要を記載していきます。
定款に記載されている事業目的とも整合性が取れていること等も記載していくとより活動内容の矛盾がないことを示すことができます。

また、事業を行うにあたっての「経営理念」や「会社情報(電話番号や所在地)」「代表者のプロフィール」等も記載していきます。

集客方法等のマーケティング

事業を行うにあたり、どのように売り上げを上げていくのか?ということは重要なポイントになります。

そのため、実際に顧客を獲得していく方法等を具体的に記載していきます。

例えば、他の法人と業務提携を結ぶ予定であることや、これまでの経歴から既に顧客が存在していること等を記載していきます。

このマーケティング部分が不透明であると、本当に売り上げを上げることが出来るのか?という疑念を持たれる可能性が高いので、必要があれば事業計画書以外にも業務提携契約書等の疎明資料を提出することになります。

サービス内容や価格設定

実際に販売(提供)するサービスを具体的に記載していきます。
また、販売価格や原価等も記載することで、適切に利益が確保できるということも示していくことになります。

例えば、貿易業務を行う場合、実際に販売する商品の写真や仕入れ価格、販売価格等の記載することで具体性を増すことができます。

販売先や仕入れ先

商品を販売する場合、販売先がなければ仕入れても売り上げを上げることができません。
また、仕入れ先がなければ、そもそも商品を販売することができません。

例えば、貿易業務を行う場合、既に大口の販売先があることや、仕入れ先を確保していること等を具体的に示す必要があります。

ここでも、既に販売契約等を締結できている場合は、疎明資料として追加で提出することで、より信憑性の高い事業計画書になります。

市場規模や販売ターゲット

参入しようとしている事業の市場規模や動向がどのように推移しているかを数字を出して具体的に示していきます。
例えば、グランピングの市場規模は20〇〇年では、何兆円の規模であり、20〇〇年と比較して約15%も増加している。さらに、この傾向は今後も続くと考えられており、3年後には〇兆円にまで増加すると考えられている。等、グラフや数値を使い、市場が大きいことを示すことで具体性を増すことができます。

また、商品を販売するターゲットについても、根拠を示して具体的に示す必要があります。
例えば、グランピングに興味がある層は20代~30代の割合が全体の〇%を占めていることから、ターゲット層を20代~30代に決定した。等、具体的に記載していきます。

競合状況や差別化、自社の強み

ほとんどのケースでは、事業を行うにあたって、同業他社等の競合が存在します。
その競合他社と比較して、どのようにサービスを差別化していくか?また、自社の強みをどのように活用して、競争優位性を確保していくのか?ということを具体的に示していくことになります。

収支計画

概ね1年後~3年後までの事業の収支計画を記載していきます。
売上総利益や営業利益等を収支計画に記載して、行う事業が収益があり黒字になることを示していくことになります。

当然、事業計画の時点で赤字の場合は、審査において不利になりますので、そのような事業の場合は、そもそもの内容から考え直していく必要があります。

上記、ポイントを押さえた上で、具体的な事業計画書を作成し、「経営管理」ビザの申請をしていくことになります。

また、金融機関から融資等をしてもらう際にも、事業計画書の作成が必要になりますが、「金融機関への融資のための事業計画書」と「経営管理ビザの申請のための事業計画書」とは審査するポイントが異なりますので、別物であると考えた方が良いです。

事業計画書どおりの売上がなかった場合


「経営管理」ビザは最初の申請で許可が決定された場合に与えられる在留期間は、原則「1年」となります。

当然、在留資格は在留期間満了の前までに、在留期間更新許可申請を行い、在留期間の更新を行う必要があります。

この在留期間の更新の際に、新規申請時に提出した事業計画書どおりの売上が上がっていない場合はどうなるのでしょうか?

実際に、当初の事業計画書の収支計画よりも売り上げが高く上がっている場合は特に問題はありません。

しかし、売上が収支計画より下回り、赤字であった場合等は、更新時に再度事業計画を作成し、今後黒字転換をしていくための方向性を示していく必要が出てきます。

また、再度事業計画を提出して、無事に更新されたとしても、次回の在留期間の更新の際も赤字であれば、審査が年々厳しくなっていくため、早期に黒字化を図っていくことが求められます。

「経営管理」ビザの在留期間更新については以下の記事で解説をしています。↓

まとめ

今回は、「経営管理」ビザを取得するために重要となる「事業計画書」について考えてきました。

経営管理ビザを申請するためには、「営業所の確保」「必要な許認可の取得」「法人の設立」等、事業実態があることが前提になり、準備も膨大になってきます。

「経営管理ビザ」の申請を検討している場合は、法務の専門家である行政書士に依頼する方法も有効な選択肢になります。

今回の記事が参考になれば幸いです。

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